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遺留分減殺請求とは

被相続人の遺言が法定相続人(兄弟姉妹を除く)の遺留分を侵害するものである場合、法定相続人は「遺留分減殺請求権」を行使し、遺留分を侵害する範囲内で遺言による財産処分の効力を失わせることができます。
遺留分減殺の請求は遺言で財産をもらった人に対して連絡をすることによって行います。請求方法に特に決まりはなく、相手方(受贈者又は受遺者)に対する意思表示だけで効力が生じ必ずしも裁判上の請求による必要はありません。
しかし、遺留分減殺請求権の消滅時効は法律上1年間と決められているため(民法1042条)、注意が必要です。遺留分減殺請求についての連絡方法は、遺留分の請求が時効にかかっていないことを証明するためにも内容証明郵便で行うのが一般的です。
遺留分減殺請求の意思表示を行いますと、それが相手方に届いた時点で遺留分を侵害している遺贈または贈与の効果が失われます。よって、その時点で、受遺者や受贈者などが取得した権利は、遺留分を限度として、当然に遺留分権利者に復帰します。
通例では、遺留分減殺の請求が届いた後に話し合いが行われ、遺留分の話し合いがまとまらない場合には調停や訴訟の場で遺留分に見合う遺産を取り戻すことになります。
また、遺留分減殺請求はどの相続財産からでも自由に請求してよいというわけではなく、請求できる相続財産の順番が決まっています。

●贈与と遺贈が併存している場合には、遺贈を減殺した後でなければ、贈与を減殺することができない

●遺贈がある場合は、その目的の価額の割合に応じて減殺し、遺贈を減殺した後に、新しい贈与から順次古い贈与に対して減殺していきます。順番としては、遺贈>新しい贈与>古い贈与という順番で減殺していくことになります。

遺留分減殺請求ができる期間

兄弟姉妹を除く法定相続人は、遺言によって法定相続分を削られてしまった場合、多くの遺産を受け取った相続人や受遺者に対し遺留分減殺請求をすることができます。この遺留分減殺請求は、できる期間が決められていますので注意が必要です。

民法1042条は、遺留分減殺請求ができる期間を次のように定めています。
【民法 第1042条: 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。】
つまり、遺留分減殺請求権については2つの期間制限があります。

  1. ① 時効による消滅。遺留分減殺請求権は遺留分権利者が相続開始・減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った時から1年で、時効によって消滅します。
  2. ② 相続開始時から10年を経過した場合も、遺留分減殺請求権は消滅します。こちらは消滅時効ではなく除斥期間(一定期間権利を行使しないことによりその権利を失うことになる期間)であると解されています。

遺留分減殺請求権の消滅時効

遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続開始・減殺すべき贈与・遺贈のいずれかがあったことを知った時から1年が経過すると、時効によって消滅してしまいます。
ここで重要なのはあくまで「相続の開始等のいずれかを“知った時”」からのカウントですので、相続が開始されていたことも、減殺すべき贈与があることも、遺贈があったことも知らなければ、消滅時効期間は進行することはないということです。たとえ相続開始等から1年以上が経過していようとも、相続開始等を知らないままであれば時効によって消滅することはありません。
(※ただし、相続開始から10年経過しますと除斥期間によって消滅します。)
また、減殺すべき贈与または遺贈を「知った時」とは、単にその贈与や遺贈がなされた事実を知ったというだけではなく、その贈与等によって自分の遺留分額が侵害され、さらに減殺請求の対象となるということまで認識している必要があるとされています。

遺留分減殺請求権の除斥期間

遺留分減殺請求権には消滅時効のほかに除斥期間があります。相続開始の時から10年を経過すると、遺留分減殺請求ができなくなってしまいます。
ただし、遺留分減殺請求権は形成権(権利者の一方的な意思表示によって、法律関係の変動を生じさせる権利のことです)ですので、10年の期間内に1回でも遺留分減殺請求権を行使しておけば除斥期間によって権利が消滅することはなくなります。

遺留分減殺請求権に基づく権利の消滅時効

遺留分減殺請求権には消滅時効や除斥期間といった期限がありますので、期間内に遺留分減殺請求権を行使しておく必要があります。
ただし、遺留分減殺請求権についてはこれを1度でも行使すれば減殺の効果が生ずるため、時効中断などを考えなくてもよく、消滅時効や除斥期間は問題とならなくなります。
もっとも、これはあくまで「遺留分減殺請求権」の消滅時効や除斥期間が問題にならなくなるというだけです。遺留分減殺請求によって別に生じた各種の請求権等については別途、消滅時効等が進行していくことになります。
例えば、遺留分減殺請求をしたことにより、ある相続人から一定額の金銭(金銭債権)を渡してもらえることになったとします。
この場合、遺留分減殺請求権の行使に基づくものですが、債権としては遺留分減殺請求権とは別個の金銭債権であると考えることになるのです。よってこの相続人に対する金銭債権は遺留分減殺請求権とは別に消滅時効の対象となります。
具体的に言いますと、この遺留分減殺請求の行使によって取得した金銭債権は不当利得返還請求権であると解されることになりますので、10年で時効によって消滅することになります。
このように、遺留分減殺請求権は1回行使すれば時効消滅等がなくなるとしても、それによって生じた別の権利については消滅時効がなくなったということにはなりません。もっとも、遺留分権利者に帰属した所有権(または共有持分権)に基づく移転登記請求権等は、時効によって消滅しないと考えられています。

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