被相続人と相続人が同時に死亡した場合
不慮の事故に遭い、突然、家族を何人も同時に亡くしてしまうこともあります。残されたご遺族にとっては本当にショックなことですし現実の日常生活を取り戻すまでに何年もかかることもあります。しかし、このような場合においても、人の死はすなわち相続の始まりですので、いつまでも泣いているわけにはいかず、手続を始めなければなりません。
たとえば祖父母、父母、子2人の家族において、事故で祖父と父を同時に亡くした場合、相続はどうなるのか。
まず、ここで重要な点は、祖父と父のどちらが先に亡くなったかで相続が変わってくるという点です。 相続の理論からいいますと、祖父が亡くなれば、その相続人は祖母と息子の二人になります。そして、その後に息子が亡くなったとすれば、息子の相続においては息子の妻とその子が相続人になります。しかし、このように例えば家族数人が同乗していた車が事故に遭うなどして死亡が認められた場合、1分でも1秒でもどちらの死亡が先後であるかを証明するのは非常に難しいことです。
ですので、このようにある人が死亡した時点で他の人たちが生存していたかどうかがはっきりしない場合には、法律上、その数名の人は同時に死亡したものと推定されることになっています。
交通事故や飛行機事故、船舶事故または火災・風水害などの天災地変で複数の人が亡くなり、その人たちの死亡時刻がはっきりわからないような場合がこれに当たるとされます。もっともこれに限られるわけではなく、まったく別の事故で死亡したがその死亡日時の先後がはっきりしない場合や、片方の死亡日時は確定しているが他方の死亡日時がはっきりしないため両者の死亡の先後関係が不明であるような場合でも、「同時に死亡」したものと推定されます。例えば、1人は日本国内において火災事故に遭い死亡し、もう1人が同日外国で起きた船舶事故で死亡したが船舶が沈没した時刻がわからないような場合がこれに当たります。
同時死亡の推定が働く場合、推定の働く複数の死亡者の死亡の先後については原則として同時死亡を前提として相続が開始することになります。
●死亡者たち相互の間では相続の関係は生じない。
●仮に同時死亡の推定が働く者同士の間で遺贈がなされていたとしても、遺贈者の死亡「以前」に受遺者が死亡していた場合に当たるので遺贈の効力は生じない。
先に挙げた例に従いますと、まず祖父の遺産については祖母と(本来であれば父が相続人となるはずですが、その父が同時に亡くなっているので)父の相続人である子が父を代襲して相続することになります。代襲相続は被相続人の死亡「以前」に相続人が死亡した場合に生じ、同時死亡の場合においても代襲相続の適用場面となりますので、子が父の代襲相続人として相続できることになります。
またこの場合、母は祖父との関係では子である父の配偶者ということになり、直接の相続権は有しません。
一方で、父の遺産については配偶者である母と子が相続人となりますので、祖母は相続できません。
しかし後になって、このように行われた相続が覆ることがあります。それは、後に事故の詳細などが明るみとなり明確な死亡時間が証明された場合です。推定の働く死亡者同士の死亡時の先後を「明確」にできれば同時死亡の推定は覆ります。よってすでに同時死亡を前提に遺産分割が行われていたとすればそれは効力を失い、遺産分割をやり直すことができるようになるのです。
また、同時死亡の推定が働かないことにより、相続人となる人や相続分が増えることになる人は相続回復請求をすることになると考えられます。例えば、祖父が父より先に死んだことが判明すれば、祖父の遺産についてまず父が相続し、父が死亡することによって母が父の相続した分の半分を結果的に取得することになりますので、相続回復請求ができるようになると考えられます。
なお、この同時死亡の推定に対して反証する場合、戸籍の記載との関係が問題となる場合があります。これは、同時死亡の推定力と戸籍記載の死亡日時分の推定力のどちらを上に見るかという問題に起因します。
●戸籍記載の死亡日時分は通常医師の診断書に基づいて記載される。
●事故死のケースでは自然死と異なり死体検案書に基づく場合がある。また、推定年月日のみが記載され、死亡時刻は記載されない場合もある。
診断書の死亡時刻の記載は大体実際の死亡時刻に近いのですが、死体検案書は医学的な知識に基づいて推定死亡時刻を記載するにとどまります。よって、対象の数人について診断書に基づいて死亡日時分が戸籍に記載されたときは戸籍記載の推定力が優先し、死体検案書に基づくときは同時死亡の推定が優先するとの考えが有力です。
したがって、対象となる者全員の戸籍上の死亡日時の記載が診断書に基づく場合には戸籍の記載の死亡日時が優先し、対象のうち1人でも死体検案書に基づく記載がされている者がいる場合には同時死亡の推定が優先すると考えられます。
もちろん、それにより誰が相続人となるのか、さらに相続分なども変わってくるので、注意が必要です。
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