再生委員とは何ですか？

個人再生委員とは？

個人再生委員とは、個人再生の申立てをおこなった場合に、裁判所が必要に応じて選任し、裁判所の職務を補助する役割を果たす人のことをいいます。
多くの裁判所では、個人再生委員が選任されるのは債務者本人が申立てをおこなった場合に限られ、弁護士が申立代理人となって個人再生を申し立てた場合には個人再生委員がつけられないこともあります。ただし、東京地方裁判所では、原則として、すべての個人再生申立事件について、再生委員を選任することになっています。
裁判所が個人再生委員を選任した場合には、個人再生委員にかかる手続き費用の納付が必要となります。したがってこの場合には１５万円前後の手続き費用の支払が必要になることがあります。

個人再生委員の職務とは？

　個人再生委員は、裁判所を補助する機関として、裁判所の目や耳となり、債務者の財産や収入の状況などを調査します。
もし、債務者と債権者の間で債権額がいくらなのか等、債権の有無・内容等に争いがある場合には、個人再生委員がこれを調査し、裁判所が判断するための判断材料を提出します。
また、個人再生委員は、債務者が再生計画案を作成するのに必要な指導やアドバイスをすることがあります。
個人再生委員は、あくまで裁判所の補助機関であり、中立的な立場に立っています。特別に債務者の味方になって再建案を立ててくれるわけではありません。
しかし、個人再生の手続きは複雑で提出する書類も多くなりますから、債務者が手続きを進められるように一定のサポートをしてくれることがあります。

監督委員とは？

民事再生手続きでは監督委員が選任される

個人再生ではなく会社などの民事再生の手続きでは、監督委員が裁判所の補助機関として選任されます。
法律上は、監督委員を必ず選任しなければならないとはされていませんが、実際には基本的にすべての事件について監督委員が選任されています。
監督委員も、個人再生委員と同様に、裁判所の補助機関として、裁判所の目や耳となって手続きを進めるにあたり必要な調査等をおこないます。

監督委員の職務とは

監督委員は、裁判所が再生手続開始決定をおこなうにあたり、法律上申立てを棄却すべき事由がないかどうかを調査するとともに、報告書を提出します。
また、申立書類をチェックし、その中に不明な点などがあれば、必要に応じて申立代理人弁護士、債務者やその従業員などから事情聴取をすることもあります。
また、監督委員は、再生手続き申立ての直後におこなわれる債権者説明会にオブザーバーとして出席することがあります。
さらに、監督委員を選任するときの監督命令では、監督委員の同意を得なければ再生債務者がすることができない行為が指定されます。
そのため、監督委員は、たとえば債務者が重要な財産を処分することの同意を求めた場合には、その行為をしてもよいか検討し、必要に応じて資料提出を求めたり事情聴取を行ったりしたうえで、同意するかどうかを決定します。
加えて、債務者は、毎月１回、業務および財産の管理状況を記載した報告書（月次報告書）を裁判所へ提出することを命じられます。監督委員は、提出された月次報告書をチェックし、債務者の業務や資金繰り、財産の管理状況をチェックします。場合によっては、債務者に注意をしたり、必要な報告を求めたりなどします。
また、監督委員は、債務者の提出した再生計画案に法律上の不認可事由がないかどうかを調査し、調査報告書（意見書）を裁判所へ提出します。

個人再生委員・監督委員の信頼を得ることの重要性

このように、個人再生委員や監督委員は、再生手続きの申立てから再生手続きが終わるまでの間ずっと、債務者を監督する立場にあります。 したがって、個人再生・民事再生の手続きを進めるには、個人再生委員・監督委員の信頼を得て手続きを進めることが重要になります。