事業譲渡・会社再編とは何ですか?
事業譲渡とは?
事業譲渡とは、会社の事業部門や会社資産の一部を第三者に譲渡(売却)する手法です。
譲渡の対象となるものは、事業遂行に必要な人(従業員など)・物(商品などの動産や工場などの不動産も含みます)・権利(取引先と取引をする権利など)など多岐に渡ります。
事業譲渡のリスクは?
事業譲渡を行う場合の最大のリスクは、譲受人が、取引先や従業員を承継できない可能性があることです。
事業譲渡を行う場合、譲受人が、顧客・取引先・従業員等と全て新たに締結しなおすことになります。そうすると、例えば、雇用契約を拒否する従業員や、契約のまき直しをためらう取引先が出る可能性は自ずと高くなります。
また、譲渡の対象となる事業が、許認可を必要とする事業(人材派遣や介護事業などが典型です)の場合、許認可は事業譲渡に伴い引き継がれるわけではありません。そのため、譲受人において、新規で行政に対して申請する必要があります。このように、譲受人において、新たに許認可等の申請を行う事務負担と、場合によっては、許認可を受けることができなくなるというリスクを負担する必要があります。
事業譲渡のメリットは?
上記のようなリスクはありますが、事業譲渡には、譲渡する側にとっても、譲り受ける側にとっても、メリットがあります。
1つの会社において複数の事業部門がある場合に、非中核的な事業を譲渡するケースでは、譲渡側にメリットがあります。会社全体の売却はできないが、非中核的部門を会社から引き離すことが可能だからです。このようなケースでは、事業譲渡がよく行われます。
譲受会社にとっては、譲渡会社が過大な事業用不動産を保有している場合であっても、事業譲渡を選択することによって、不要な資産を承継せず、身軽な形で買収を進めることができるというケースでは、事業譲渡を行うメリットがあります。
会社再編とは?
会社再編とは、会社の組織と形態を変更する法律行為です。大きく分けると、①合併、②会社分割、③株式交換、④株式移転の4つに分類されます。
合併とは?
合併には大きく分けると2種類あり、①吸収合併(1つの会社を消滅させて、その権利義務を他の会社に包括的に承継させ、他の会社を存続させる合併方法)と②新設合併(2つ以上の会社を消滅させて、その権利義務を新設する会社に包括的に承継させる合併方法)に分かれます。
合併は、経営上独立した複数の会社が、経営統合で1つになる場合や、親会社が複数の子会社を効率化のために合併させる場合に利用されます。
会社分割とは?
会社分割も大きく分けて2種類あり、①吸収分割(会社が、別の会社と分割契約を締結し、当該別会社に権利義務を包括承継する分割方法)と、②新設分割(会社が、分割計画を作成し、新設する会社に権利義務を包括承継する分割方法)。
分割は、会社が複数の事業を運営していて、一部の非中核的事業を第三者に売却したい場合に利用されることが多いです。事業譲渡とことなり、包括的に譲渡できるところにメリットがあります。
株式交換とは?
株式交換とは、会社が、発行済株式の全てを他の会社に取得させる会社法上の行為です。
分かりやすくいうと、2つの会社のうち、一方の会社を完全親会社、他方の会社を完全子会社として親子会社関係を創設する方法です。完全親会社となる会社は、その株式またはその他の対価を、完全子会社となる会社の株主に付与します。
株式交換は、ある会社が、別の会社を買収して子会社にしたいと考えているものの、手元に資金が不足しているため、現金の代わりに自らの株式を交付して完全子会社化をする場合に利用されることが多いです。
株式移転とは?
株式移転とは、会社がその発行済株式全部を新設会社に取得させる行為です。分かりやすく言うと、1つまたは2つ以上の会社が株式移転計画を作成し、当該会社の完全親会社を新設する方法です。1つまたは複数の会社が、持株会社(ホールディングカンパニー)を創設してグループ経営を行う場合に利用されます。
どの方法を取るべきか?
上記のとおり、事業譲渡も含めると、会社再編には様々な手段があります。そのため、どのような場合に、どの手続を取るべきかの判断は非常に難しいです。また、会社再編にあたっては、法律的な知識・経験はもちろんのこと、会計や経営の知識・経験も必要となってきます。さらに、会社再編に反対する者がいた場合、どのように説得するかといった交渉の手腕も必要となります。
当事務所は、会社法・金融商品取引法などの法律のみならず、会計税務に関する専門的な知識を生かし、幅のある選択肢の中から、再編のスキームを選択し、関係当事者間の利害調整・交渉に関与し、依頼人を適切にサポートしていくことが可能です。まずはご相談ください。