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  4. 無断転貸と解除

無断転貸(賃借権の無断譲渡)と解除


1賃借権の無断譲渡・無断転貸の場合

 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ第三者に賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸したりすることはできません(民法612条1項)。

 賃借人が賃貸人の承諾を得ずに第三者に賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸した場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます(民法612条2項)。

 「転貸」とは、転借人(又貸しを受けた者)が賃借人(本来の借主)から目的物の引き渡しを受け、賃借人から独立して使用収益を行う権限を与えられている場合をいいます。

 転貸といえるかが問題となった事例として以下のようなものがあります。

(1) 親戚が同居している場合

 親戚の者が同居する場合、使用収益の主体が賃借人から第三者に変更されたと評価できるときは転貸となるとされています(東京高等裁判所昭和38年2月14日判決)。

(2) 借家人の不在中に第三者が利用している場合

 第三者が保存管理をする場合、借家人の不在中その留守番として賃借家屋に入居し、その保存管理をする場合は転貸とは言えないとされています(東京高等裁判所昭和32年6月19日判決)。

 他方、借家人の留守を守るというよりも、自らその家屋を生活の本拠として使用収益しているような事情のもとでは転貸が認められています(東京地方裁判所昭和26年2月22日判決、東京高等裁判所昭和40年1月28日判決等)。

(3) 営業形態が変わった場合

 借家人の営業を形式上会社組織に改め、有限会社に賃借家屋を使用させた場合については、転貸が認められます(最高裁判所昭和31年4月3日判決)。

2.無断転貸等の解除

 賃借人による無断譲渡・転貸があった場合でも、常に解除が認められるというわけではありません。

 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物の使用収益をさせた場合でも、「賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事由」があるときは、賃貸人は契約を解除できないとされています(最高裁判所昭和28年9月25日判決)。

 この「特段の事由」については、無断転貸等を行った賃借人側が反論として主張すべき内容となります。

 「背信行為と認める足らない特別の事情」があるとして解除が認められなかった事例については、以下のような裁判例があります。

・借家人が個人営業を形式上法人組織に改めたにすぎず、実質的には借家人に変動が認められない場合(最高裁判所昭和39年11月19日判決、最高裁判所昭和46年11月4日判決)

・転貸の当初からその期間が短く定められている(一時使用である)場合(東京地方裁判所昭和32年10月10日判決)

・間貸しなど賃借物一部の転貸の場合(最高裁判所昭和36年4月28日判決など)

・親族その他の特殊な関係にある者に譲渡、転貸した場合 (大阪高等裁判所昭和28年4月2日判決)

・賃借権の準共有者が他の準共有者に持分を譲渡した場合(最高裁判所昭和29年10月26日判決など)

・賃借家屋を住宅困窮者に転貸した場合(東京地方裁判所昭和25年9月1日)

 なお、上記裁判例と同種の事案であっても、個別の事情や社会情勢の変化を考慮した結果、異なる判断がなされる可能性があります。

3.「背信行為と認めるに足りない」とされた場合の法律関係

 無断転貸ではあるが、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りないという場合に、無断転貸がどのように扱われるのかが問題となります。

 契約の解除ができない場合は、賃貸人は転借人に対して明渡しを求めることができません。

 結果として、このような場合には無断転貸は賃貸人の承諾があった転貸の場合と同様に扱われることになります。

(1) 賃貸人と賃借人の関係

 無断転貸を行った賃借人と賃貸人の関係には影響が生じないことになります。

 そのため、賃貸人は無断転貸を理由とした契約の解除や損害賠償請求をすることができません。

(2) 賃貸人と無断転借人の関係

 民法第613条は「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。」と定めています。

 つまり、適法な転貸借がなされた場合には、賃貸人は転借人に対して直接賃料の請求ができます。

 この条文は、適法な転貸借がなされた場合だけでなく、無断転貸がされたが背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合にも適用されるものと考えられています。

 したがって、このような場合には、賃貸人は転借人に対して賃料を請求することができます。

4.無断転貸発覚時の貸主の対応

 ここでは、無断転貸がなされた場合の賃貸人の対応について解説します。賃借権の無断譲渡の場合も同様の対応となります。

(1) 無断転貸等が発覚した場合

 賃貸人は賃借人に対し、すぐに事実関係を確認する必要があります。

 無断転貸等を認識した上で、転借人に対して賃料の支払を請求したような場合は、黙示の承諾をしたと評価される可能性が高いので注意が必要です。

(2) 解除

 賃貸人は、賃借人に対し、無断転貸を理由とする契約の解除をすることができます。

 無断転貸による解除の場合、催告は不要とされています。

(3) 明渡請求

 賃貸借契約が解除された場合、転借人は建物の利用権がなくなるため、賃貸人は転借人に対して建物の明渡しを求めることができます。

 また、契約が解除されていない場合においても、賃借人は、転借人に対して直接明渡しを求めることができます(最高裁判所昭和26年5月31日判決)。

【注意】
 弊所では、居住用物件については貸主様からのご相談・ご依頼のみをお受けしております。
 居住用物件の借主様からのご相談・ご依頼(マンション・アパートを借りていらっしゃる方からの退去交渉等のご相談・ご依頼)は受け付けておりません。予めご了承ください(債務整理としてご相談をお受けすることは可能です)。
 なお、テナント物件(事業用物件)については、貸主様・借主様いずれの方からもご相談・ご依頼をお受けしております。

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