和解とはなんですか
任意整理とは和解で借金問題を解決すること
和解とは、法律に関する争いについて、当事者の双方がお互いに譲歩し、争いを止めることを合意する契約をすることをいいます。
よく交通事故や刑事事件などで「示談」といった単語を耳にすることがありますが、示談も和解と同じです。示談というのは法律の条文に載っている言葉ではありませんが、特に被害者と加害者がいる事件について、裁判所を通さないで和解をすることを指して、示談と呼ぶことが多いです。
お金の借入れは、民法では金銭消費貸借契約という契約に当たり、借主は貸主に対して法律上貸金返還義務を負います。
契約通りの支払いができないということも「法律に関する争い」に含まれます。
任意整理とは、裁判所を使わずに、相手方との交渉をおこない、借金の支払い計画の見直しを合意することにより借金問題を解決(=争いを止める)する方法です。つまり、任意整理とは、(裁判所を関与させない)和解によって借金問題を解決することをいいます。
なぜ相手方は和解をするのか?
では、なぜ、相手方(貸金業者など)は、任意整理に応じることがあるのでしょうか?
それにはさまざまな理由がありますが、一般的には裁判をして一括返済を求めるコストに見合う結果が得られない場合が多いことがあげられます。
借金問題に限らず、裁判を提起するには、いろいろなコストがかかります。裁判所へ納める手数料や弁護士に支払う報酬のほか、訴状などの書類を作成したり、裁判の期日に法廷へ行ったり…などなどさまざまなコストが裁判提起には生じます。
そして、このようなコストを費やして判決を得たとしても、自動的にお金が送金されてくるわけではありませんし、財産がない相手からは結局回収できないこともあります。最終的に相手が自己破産をしてしまえば、基本的に借金の返済を請求することはできなくなります。
したがって、相手方としても、借主に自己破産をされて借金のすべてが免除されてしまうよりは、多少ゆずってでも分割払いを受けた方がよいと判断する場合があります。
和解成立までのプロセス
当事務所では、お客様の代理人として、お客様の生活の状況にあった程度の返済条件を相手方に認めてもらうことを目指して交渉をいたします。
借金総額の確認
その前提として、まず、正確な借金の総額を確認します。利息制限法に基づく引き直し計算を行い、正確な借金残高を調べます。過払い利息がある場合には、借金の金額が減ることがあります。
交渉
正確な残高を把握したうえで、お客様が現実にお支払い可能な返済計画を立て、相手方に提示し、同意してもらえるように交渉します。
具体的には、可能な範囲での分割払いとし、弁護士に依頼した後の利息をカットしてもらうよう交渉します。
実際に相手方に応じてもらえる分割払いの期間は、約3~5年間が限度であることが多いです。また、実際にもこれ以上の長期間、家計を切りつめて支払いを続けることは難しいことが多いです。
もっとも、お客様個別のご事情がある場合もありますし、任意整理において法律上5年以上の分割払いが禁止されているわけではありませんから、5年を超える分割払いで双方が合意し、和解が成立するケースもあります。
和解所の作成
相手方との間で今後の返済条件について合意ができた場合には、その内容を和解書を作成して記録します。
分割払いの場合、期限の利益喪失条項といって、一定以上の回数の支払遅延があった場合には、残金を一括して支払わなければならないというペナルティを設けることが一般的です。また、この場合に、遅延損害金を上乗せして払わなければならないと約束することも多いです。
一括払いではなく分割払いでよいと待ってもらえるという借主の利益を「期限の利益」といいます。その期限の利益が失われ、借主が一括返済をしなければならなくなるための条件を定めた和解条項のことを「期限の利益喪失条項」といいます。
多くの場合、2~3回程度の支払い遅れがあった場合に期限の利益を喪失する(=残金を一括返済する)という定めを置きます。
約束通りの支払いができなかった場合
上記のとおり、一定回数以上の支払い遅れがあった場合には、期限の利益を喪失し、一括して残額を返済しなければならなくなります。
この場合にもう一度任意整理をすることができるかというと、法律的にはまったく禁止されていないですが、実際には困難であることが多いです。
というのは、和解をするに当たり、相手方もこの条件なら自分も譲れると考えて和解に応じています。
その約束を守ることができなかったのですから、その時点で相手方からはなかなか信用を得ることが難しいです。また、いったん任意整理をしたのに支払いがとどこおったということは、次の任意整理をする場合には、さらに月々の支払金額を減らして支払期間を延ばすなど、借主に有利な条件にしてもらわなければまた支払いがとどこおってしまう可能性が高いです。
となると、なかなか相手方もそのような条件に応じられないことが多いです。
このように、再度の任意整理をすることは、法律上はなんら禁止されていないですけれども、実際に実現できる可能性はとても低いです。
いったん任意整理を失敗してしまった場合には、自己破産など別の手続きを検討しなければならないことが多いでしょう。
最初に本当に支払い可能な条件で任意整理をする、または最初から自己破産をするといった見極めが重要となります。