総量規制とは

総量規制とは、平成２２年６月１８日の改正貸金業法の完全施行により導入された仕組みのことで、個人に過剰な貸し付けがおこなわれないように、その人の年収の３分の１を超える金額の貸付けをしてはいけないという規制のことです。
たとえば、年収が６００万円の人であれば、その３分の１の２００万円を超える借入れはできないということです。 借入れをしすぎて生活に苦しむ多重債務者を減らす目的で導入されました。

総量規制の対象になるもの

ところで、お金の借入れのすべてが総量規制の対象となるわけではありません。借入れのなかにも総量規制の対象に含まれるものとそうでないものがあります。

総量規制の対象になるもの

総量規制は、貸金業者からの借入れのうち、「個人向け貸付け」のみが対象となります。借入れには、「個人向け貸付け」「個人向け保証」「法人向け貸付け」「法人向け保証」がありますが、このうち対象となるのは「個人向け貸付け」（個人がお金を借り入れる行為）です。 具体的には、消費者金融やクレジットカード会社のキャッシングが対象となります（銀行は含まれません）。

対象外（除外）のもの

個人のお金の借入れであっても、住宅ローンや担保付ローン（自動車ローンなど）などは対象外とされます。また、単なる個人ではなく個人事業主が事業資金の貸付けを受ける場合も対象外となります。また、クレジットカードのショッピング利用は対象外となります。

総量規制の対象になるが借りられる場合もあるもの（例外）

• おまとめローン
• 緊急に必要な医療費 など

申込み時に借入額がチェックされる

　貸金業者は、ローンやクレジットカードの審査のときに、信用情報機関で管理されている信用情報をチェックし、申込みをした人の貸金業者からの借り入れ状況を確認します。
信用情報を確認すれば、どの貸金業者からいくら借りているか等が分かります。
そのため、他の貸金業者からの借入金額をごまかしてお金を借りることはできません。
もっとも、総量規制をクリアしたからといって、ローンやクレジットカードの審査が通ると決まったわけではありません。
貸金業者は、それぞれの判断にしたがって、申込者の収入や年齢、性別、職業その他の情報から貸付けの可否を決めています。総量規制をクリアしても審査で貸付けが認められないことはあります。

基準となる年収とは？

総量規制の基準となる年収は、以下のものが含まれます。

• 給与（手取りではなく額面金額を基準とします。）
• 年金
• 恩給
• 不動産の賃貸収入（事業としておこなう場合を除く）
• 年間の事業所得

次のような収入は、年収には含まれません。

• 宝くじなどや競馬などの当選金
• 保険金
• 退職金 など

総量規制に違反するとどうなる？

利用者側は、総量規制に違反して年収の３分の１を超える貸し付けを受けたとしても、何か行政処分を受けたり、刑罰を受けたりなどのペナルティを受けることはありません。
また、違反貸付けということですぐに返済をしなければならなくなる、ということもありません。 ただし、総量規制に違反している状態が続いている限りは、新たな借り入れは通常できないことになります。
これに対し、貸金業者が総量規制に反する貸付けをおこなった場合には、業務停止命令・登録取消処分などの行政処分を受ける可能性があります。