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1.安全衛生教育の重要性

 

建設現場では、高所作業などの危険な作業を行ったり、クレーンやフォークリフトなど、重大な事故を引き起こす可能性のある機械を使用することもあります。そのため、死亡事故などの重大事故が他の業種に比べて多く、2019年度の労災による死亡者全体のうち、建設業は32.2%を占めています。このような状態を受け、建設業界全体として、安全衛生管理のさらなる向上が必要とされ、その一環として安全衛生教育は重要な役割を果たしています。

 

安全衛生教育の一番の目的は、実際の作業場で災害を起こさないことです。そのためには、作業場にはどのような危険があるのかを理解し、安全を確保する行動をとれるよう、十分な「教育」と「訓練」が必要となります。労働安全衛生法では、事業者が労働者や職長等に対して一定の安全衛生教育を行うことを義務付けています。

 

また、建設現場では、人と設備は常に変化しています。したがって、入職当時に十分な教育を受けていても、その知識が経年劣化してしまう可能性があります。常に現場で必要な安全衛生項目を研究し、継続して災害防止のために、様々な能力向上教育を行うことも重要です。

2.安全衛生教育を行うタイミング

 

労働安全衛生法では、事業者が労働者に対して様々なタイミングで安全衛生教育を行うことを義務付けています。主な内容は、以下のとおりです。

(1)労働者を雇い入れたとき(59条1項)

 

労働安全衛生規則第35条では、原則として以下のとおり安全衛生教育を実施するよう規定されています。

ア.機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法
イ.安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法
ウ.作業手順
エ.作業開始時の点検
オ.当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防
カ.整理、整頓及び清潔の保持
キ.事故時等における応急措置及び退避
ク.その他当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
 

教育時間について法令上の規定はありませんが、労働者が従事する業務を考慮して、十分な安全衛生教育を行うことが必要となります。

(2)労働者の作業内容を変更したとき(59条2項)

 

雇い入れ時と同内容の安全衛生教育の実施が義務付けられています。

(3)危険または有害な業務に就かせるとき(59条3項)

 

「危険または有害な業務」については、労働安全衛生規則36条に定められています。チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務や、つり上げ荷重が五トン未満のクレーン業務などが挙げられています。

 

なお、クレーン等安全規則などにより、業務ごとに個別のカリキュラムが示されています。

3.職長・安全衛生責任者教育

 

職長(建設現場等で直接労働者を指揮する者)は、労働者の健康と安全を確保する上で大変重要な立場にあります。そのため、労働安全衛生法60条において、事業者が「新たに職務につくこととなった職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く)」に対し、作業方法の決定及び労働者の配置に関することなどについて安全衛生教育を実施するよう義務付けています。

 

また、建設業では、職長が安全衛生責任者に選任されることが多いため、厚生労働省は「職長教育」と「安全衛生責任者教育」を統合した「職長・安全衛生責任者教育」の実施を推進しています。

 

具体的な教育カリキュラムについては「職長・安全衛生管理者教育仮クラム」によって、以下の科目が設定されています。

①作業方法の決定および労働者の配置に関すること(2時間)
②労働者に対する指導または監督の方法に関すること(2.5時間)
③危険性または有害性等の調査およびその結果に基づき講ずる措置に関すること(4時間)
④異常時等における措置に関すること(1.5時間)
⑤その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること(2時間)
⑥安全衛生責任者の職責等(1時間)
⑦統括安全衛生管理の進め方(1時間)

4.その他の重要な点

(1)能力向上教育

 

現場で使用されている機械などは日々進化しているので、次第に知識が経年劣化してしまう可能性があります。そこで、労働安全衛生法19条の2は、「事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない」と規定します。具体的な内容、時間、方法等については、厚生労働省が「能力向上教育に関する指針」にて示しています。

(2)安全衛生教育の実施方法

 

安全衛生教育を自社で実施することが難しい場合も多いかと思います。しかし、労働者に対する安全衛生教育は、必ずしも当該事業者内部で行わなければならないものではありません。各労働災害防止団体が主催するセミナー等を受講するということも有用です。

(3)安全衛生教育は労働時間にあたるのか

 

通達(昭和47年9月18日基発第602号)では、「労働安全衛生法第59条および第60条の安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止をはかるため、事業者の責任において実施されなければならないものがあり、したがって、安全衛生教育については所定労働時間内に行うのを原則とすること。また、安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該教育が法定労働時間外に行われた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであること」が示されています。したがって、法律上、使用者に実施義務のある教育に要する時間は、原則として労働時間であると考えられています。

 

これに対し、労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いによる出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならないと考えられています。

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