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1.道路会社の概要

古来より、道路は社会インフラの根幹であり、重要な社会基盤の1つです。道路会社は、この重要な社会インフラである道路の新設およびメンテナンスを主な事業としている会社です。

道路会社の中には、道路の舗装工事外にも、アスファルト合材等の舗装資材の製造及び販売も行っている会社もあります。

道路工事事業と製品販売事業

現在の日本の道路は9割以上がアスファルト舗装によって作られています。そのため、大手の道路会社はアスファルト舗装に必要なアスファルト合材、その他舗装用材料等を製造する合材工場を保有しています。

合材工場で製造されたアスファルト合材等は、自社の工事で利用するほか、同業他社への販売もされます(同業他社が購入する理由については後述いたします)。大手道路会社にとっては、本業である道路工事事業に付随した事業ではありますが、利益率は道路工事事業よりも高く、道路会社の営業利益に占める割合も大きくなっています。そのため、上場している大手8社(大林道路(株)、(株)佐藤渡辺、世紀東急工業(株)、東亜道路工業(株)、(株)NIPPO、日本道路(株)、前田道路(株)、三井住建道路(株))の道路会社のすべてが合材工場を保有しています。

平成26年度の決算においては、大手8社はいずれも売上高では建設事業(道路工事事業)が製品販売事業よりも大きくなっている一方で、利益率は製品販売事業が建設事業を大きく上回っており、利益の金額では、製品販売事業の方が大きくなっている会社さえあります。

 

2.合材工場の商圏とJV

アスファルトは、冷えると固まる性質を利用して舗装するため、高温の状態で工事現場に搬入する必要があり、長時間の運送に適していません。そのため、大手道路会社は全国に多数の合材工場を保有し、道路工事を行う際には近くの合材工場からアスファルト合材を調達して工事を行っています。

工事設現場の近くに自社の合材工場がない場合には、他社の合材工場からアスファルト合材を調達し、工事を行っています。

合材工場は、製造・販売するアスファルトの特質上、商圏が小さく、各地に多数の工場が必要になることから、複数の会社が同じ地域に合材工場を持つことは非効率と言えます。そのため、複数の会社が共同で運営するJV(ジョイントベンチャー)形態の工場も多くみられます。

上記のようなアスファルト合材の販売についても不祥事が発覚しています。

平成29年2月28日、公正取引委員会は、アスファルト合材の販売価格を不正に引き上げるカルテルを結んでいたとして、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、(株)NIPPO、前田道路(株)、鹿島道路(株)などに対して立ち入り検査を行いました。

道路舗装工事の主要な発注元の国や地方自治体は、アスファルト合材の市場価格を参考にして、発注時の入札予定価格を算出しています。アスファルト合材についてカルテルが結ばれると、公共工事の費用が増え、税金の浪費につながります。

3.道路工事業の特徴

道路工事業の特徴

道路工事業には他の建設工事と比較して、次のような特徴があります。

(1)比較的短い工期

道路工事の多くは公共工事になります。国や地方公共団体の予算の関係から、工区を短く区切って発注されることが多いこと、また、主に舗装工事であることから建設工事の中では比較的規模が小さいことから、1件あたりの工期は短いといえます。

(2)非重層的下請構造

道路工事は、道路の舗装が主要工事であることから、下請業者の種類が少なく、施工体系において下請、孫請といった重層的な構造になりにくいという特徴があります。

(3)多額の設備投資

一般的に、建設業は、人間の労働力による業務の割合が大きい産業であることから、自社で所有する設備は少なく、設備投資額はあまり多くありません。しかし、全国に多数の合材工場を持つ大手道路会社においては、多額の初期投資が必要であります。また、工場設備のメンテナンスや取替更新が定期的に必要となることからも、設備資金が必要となります。

道路工事の多くは公共工事であることから、談合の舞台となることが多いです。

東京地検特捜部と公正取引委員会は、東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事12件の談合事件で、道路舗装各社を強制捜査しました。捜査の結果、公正取引委員会は平成28年2月29日、独占禁止法違反(不正な取引制限)容疑で、各社を刑事告発しました。

談合の疑いがもたれているのは、東日本高速道路(NEXCO東日本)東北支社が発注した岩手、宮城、福島県内などを通る高速道路の復旧舗装工事計12件です。震災によって東北地方の高速道路は重大な被害を受けたため、震災後の8~9月に復旧工事の入札が行われました。

道路舗装会社12社が1件ずつ落札し、落札総額は176億円に上り、工事は当初の計画通り1年3カ月で完了しました。

談合に関わったとみられるのは20社で、最大手のNIPPOのほか、前田道路、日本道路など大手12社で構成する上位グループと、常盤工業など中堅8社のグループに分けられ、規模の大きい工事は上位グループが受注し、中堅各社には一定の規模以下の工事が割り振られるよう受注調整がされていました。

上位グループは、NIPPOと前田道路、日本道路の3社が仕切り役の幹事社となり、落札業者を決めていました。その際、舗装に使うアスファルトを、製造する自社の合材工場に近い工区でそれぞれ受注できるよう事前に調整していました。

独占禁止法違反容疑で告発された10社が法人として起訴されるとともに、11人が在宅起訴されました。

課徴金減免制度(リーニエンシー)を利用し、公正取引委員会に最初に独禁法違反を自主申告した世紀東急工業は告発が見送られました。リーニエンシ―とは、カルテルや談合に関与した企業が、公正取引委員会に対して「自首」した場合に、課徴金を減額する制度のことをいいます。

また、書類の不備で落札が無効になった鹿島道路と、当初の落札予定者ではなく、やり直しで落札した常磐工業の2社は告発の対象から外れました。

この事件後も道路会社による談合事件は後を絶ちません。課徴金減免制度(リーニエンシー)による自主申告の活用が談合を防ぐ有効な手段となることが期待されています。

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