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1.強制執行とは

 

訴訟を起こして勝訴判決を得たり、裁判上で和解したとしても、発注者や元請会社が支払いに応じない場合があります。その場合、日本では自身の手で相手側の財産を強制的に回収する「自力救済」は認められていません。相手の財産から債権を回収するには、強制執行の申立てを行い、裁判所による手続によって相手側の財産を差し押さえする必要があります。

 

強制執行を行うためには、債権の存在を公的に証明する文書(債務名義)が必要になります。確定した裁判所の判決、和解調書、調停調書、強制執行認諾文言付き公正証書などが債務名義となります。

 

また、強制執行には債務者が所有する不動産に対する執行、債務者の動産に対する執行、債務者の債権に対する執行の3種類があります。このうち、不動産に対する強制執行は、不動産に住宅ローンなどの抵当権がついている場合が多く、強制執行を申し立てても回収できない場合があり、あまり使われません(また、裁判所に100万円程度の予納金が必要になります)。また、動産執行については、そもそも換価価値のある高価な動産(宝石、貴金属など)を所有しているか分からないため、使用されることは少ないです。

そこで、このページでは、債権に対する強制執行と、建設業特有の問題についてご説明させていただきます。

2.相手方が建設業者ではない場合

(1)預金債権の差押

 

相手方が建設業者ではない場合には、給与債権や預金債権が主な差押対象になります。特に、預金債権については、裁判所からの債権差押命令が銀行に送達されると、銀行は請求額の限度で債務者の口座から預金を引き落とすため、預金口座に金銭がある場合には確実な債権回収手段となります。

 

もっとも、預金債権の差押であれば必ずうまくいく、というわけではありません。預金債権を差し押さえる場合、相手方が取引している「銀行の名前」と「支店名」を把握している必要があります(口座番号は必要ありません)。

 

この場合、弁護士を通して銀行に紹介をかけるか、相手方の住所地の近くの銀行に山を張って強制執行することも考えられます。もっとも、紹介に応じない銀行もありますし、銀行と支店がヒットしても少額の預金しかなく、ほとんど債権を回収できないこともあります。また、強制執行を免れるために、預貯金を全て引き出してしまい、空振りに終わることもあります。

(2)給与の差押

 

相手方の勤務先が分かっている場合、勤務先から支払われる給与を差し押さえることも可能です。給料の差押えについては、法律で、給料(税金等を控除した手取り)の4分の1、または、手取り額が44万円を超える時は、手取り額から33万円を差し引いた残りの額を差し押さえることができると規定されています。

 

一度給与を差し押さえれば、請求額に満つるまで、毎月、相手方に給料を支払っている会社等(この会社等を「第三債務者」といいます)から一定額を回収できます。もっとも、相手方の勤務先が分からなければ給与差押はできませんし、相手方の転職などで勤務先が変わる等、相手方に給与が払われなくなった場合、給与差押は効力を失います。

3.建設業者を相手にする場合

 

建設業者を相手にする場合でも、預金債権の差押えは有効な手段です。特に、普段から取引関係にある相手の場合、相手方の振込先などを把握している場合もあると思いますので、銀行口座と支店の特定は比較的容易です。

 

また、相手方が元請会社などの建設業を営む会社の場合、注文主からの請負代金が有効な差押対象となります。つまり、相手方である建設会社は、注文者から発注を受けて工事を行い、その工事代金の支払日を受けることになりますが、この注文者から相手方に対する工事代金を差し押さえる、ということです。注文者が大手ゼネコンなどの場合、支払い能力に問題がないので、確実に債権を回収できます。

4.債権の特定

(1)債権の特定について  

債権を差し押さえる場合、「差し押さえるべき債権の種類及び額その他の債権を特定するに足りる事項」の記載が求められます(民事執行規則第133条2項)。  

では、請負代金債権を差し押さえる場合、どこまで特定する必要があるのでしょうか。

(2)裁判例  

請負代金債権の特定性が問題となったのが、福岡高裁平成24年6月18日決定の事例です。  

この事例では、債権者が、以下のように債権を特定して裁判所に差押えを行いました。

ア.債権の種類、発生原因
 

「債務者と第三債務者との間の舗装工事の設計、積算、施工、監理及び監督業務、建設工事の設計、積算、施工、監理及び監督業務、上記に附帯する一切の業務に関する契約」

イ.債権の発生年月日
 

「債務者が平成21年12月1日から平成24年3月30日までの間に施工した工事等の請負代金債権のうち、支払期の早いものから頭書金額に満つるまで」

 

これについて、裁判所は、「かような観点からすると、債権差押命令の送達が第三債務者になされた場合、差押えの効力が送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに、かつ、確実に、差し押さえられた債権を識別することができるように、少なくとも基本契約が締結されているのであれば基本契約の、基本契約が締結されていないのであれば、一つ一つの契約の、締結時期、契約内容の概要、請負契約の具体的種類による特定程度はすべきである。」などと判示し、差押債権の特定がされているものとはいえず、不適法であると判断しました。

 

この裁判例をもとに考えると、基本契約のある場合、基本契約の内容を特定した上で、ある特定の支払時期以後の請負代金を差押える旨を明示する必要があります。また、基本契約のない単発的な契約であれば、契約の日時及び契約の目的(仕事の内容、場所等。工事代金であれば、工事名又は工事の場所、工期、代金等)を特定する必要があることになります。

 

公共工事の場合には役所が情報を公開している場合もありますし、工事現場の「建設業の許可票」や「労災保険関係成立票」によって特定できる場合もあります。また、同業者から情報を収集するのも有効です。

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