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  4. 残業代請求に対する反論(固定残業代制)

固定残業代制とは

 固定残業代(定額残業代・みなし残業代)制度とは、あらかじめ定めた固定額の手当てを、残業代に相当する割増賃金として支払う制度です。

 したがって、時間外労働に相当する残業代が固定残業手当の金額を超えない場合には、残業代を支払う必要はありません。このような場合、会社は「未払いの残業代は存在しない」と主張することができます。

 ただし、発生している残業代が固定残業手当の金額を超えてしまうような場合には、会社側は差額の残業代を支払う義務が生じます。

 「固定残業手当を支払えば、それ以上に残業代を支払う必要はない」という主張が認められるかは、事案により異なるので注意が必要です。

 固定残業代制度をめぐっては労働者と使用者の間での争いが多く、裁判所も厳しい要件を課しています。

 裁判になった場合、会社が固定残業制度を採用していることを主張したとしても、それが無効とされてしまったり、差額分の支払いを命じられてしまう可能性があります。

 労使紛争のリスクを避けるためには、裁判例に合わせ、固定残業手当が有効であると判断してもらえるような内容の制度にする必要があるといえるでしょう。

1.固定残業手当の有効要件

 裁判例によれば、固定残業手当の有効要件は、次の3つであるとされています。

 ①固定残業手当を支払うことの合意
 ②通常の労働に対する賃金と、残業代とが明確に区分されていること
 ③労基法に従った計算方法による残業代が固定残業手当を上回る場合に差額を支払う合意があること

 差額支払いの合意については、「事前に合意をしなくても、後で差額を支払えば足りるのではないか」という見解もあります。

 しかしながら、固定残業手当に対する裁判所の判断は非常に厳格なものとなることが予想されることから、差額支払についても就業規則などで明示的に合意を定めておくのが適切です。

2.固定残業手当が無効とされないために

 以上の有効要件を適切に遵守し、固定残業手当の合意が無効とされないよう、会社の制度設計において注意すべきポイントを解説します。

(1) 固定残業手当の金額は残業時間を基準に定める

 固定残業手当の金額を定めるにあたっては、固定残業手当が、残業代に充当すべき金員として支払われていることを基礎づけるため、その金額は残業時間を基準に定めるようにします。

 具体的には、「○○手当 ○○円(時間外労働○○時間相当分)」といった形になります。このように、固定残業手当が全て一定の残業代に相当するものであることを明確にする必要があります。

 これは、業務内容、作業内容、役職などの残業時間以外の基準によって固定残業手当が増減した場合に、その手当の中に、残業代以外のものが含まれていると指摘される可能性があるためです。

 その手当のうちのどの部分が残業代として支払われているのか、明確に区分できない場合、固定残業代の要件を満たしていないと判断されるおそれがあります。

 ある手当のうちの全額ではなく、その一部のみが残業代相当分として支払われている場合には、少なくともその一部というのがいくらなのかを明らかにする必要があります。

 明確区分性の要件を欠いてしまうと、固定残業手当の有効性が否定されるおそれがあるため、注意が必要です。

(2) 固定残業手当が残業代相当分であることを示す手当の名称とする

 同様に、その手当の全額が固定残業手当であることを明確にするため、手当の名称は、残業代として支払われていることが明らかな名称とすべきでしょう。

(3) 残業時間を把握する

 固定残業手当を導入していても、労働基準法に従って計算した残業代が、固定残業手当を上回った場合には、その差額を支払う義務があります。そのため、残業代を計算するために、実労働時間を把握しておく必要があります。

 したがって、固定残業手当を導入した後であっても、タイムカードなどの方法による労働時間の把握は継続して行う必要があります。

 算出した実労働時間を基礎に労働基準法にしたがった残業代を算出し、これが固定残業手当を上回る場合には、その差額分を支払っておかなければなりません。

3.固定残業手当が無効とされた場合

 近年、長時間労働を原因とした過労死、うつ病の発症等の健康被害の問題が重大な社会問題として関心を集めるようになりました。その原因の一つとして、労働基準法に定められた適切な残業代が支払われていないことが挙げられています。

 こうした状況を是正し労働者の健康被害を減らすため、現在、裁判所においては固定残業手当の有効性は、厳しく判断される傾向にあります。

 特に、固定残業手当が非常に高額に設定され、これを除いた基本給部分が最低賃金を下回るほど低額である場合など、長時間労働の助長につながる可能性の高い悪質な場合には、固定残業手当の合意自体が民法90条の公序良俗に違反して無効であるとされるケースも少なくありません。

 この場合、固定残業手当として、会社としては残業代分として支払っていたはずの金額が、基本給と同様に残業代の基礎単価に加算されると判断されます。結果として、固定残業手当を導入する前よりも、支払わなければならない未払い残業代が増加してしまうおそれがあります。

 また、残業代の未払い、長時間労働による労災事故は、労働基準法違反の中でも書類送検されやすい労働問題であるといえます。そうなってしまった場合、経営への打撃や信用の失墜といった、会社にとって深刻な事態が生じる可能性があります。

 裁判において上記のような問題点を指摘された場合、会社側の反論が認められ、会社に有利な判決を得るのは難しいのが現状です。

 そうした状況を踏まえ、固定残業代制度は、慎重に導入・運用しなければならない制度であるといえるでしょう。

【注意】
弊所では、残業代請求を含む労働トラブルについて、会社経営者様からのご相談(会社側のご相談)のみをお受けしております。 利益相反の観点から、従業員・労働者側からのご相談はお受けしておりませんので、予めご了承ください。

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