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1.「上請け」とは

「上請け(うわうけ)」とは、元請負人である中小業者が、大手業者に下請発注することをいいます。例えば、自社工場を持っていないベンチャー企業が、製品の生産を大企業に下請け発注する場合などが上請けになります。このような、いわゆるファブレス経営の場合では、上請けが行われることがあります。

そのため、上請けはどのような場合でも違法な行為になるわけではありません。しかし、建設業特有の問題として、施工能力が十分でない中小業者が元請負人として工事を受注して、ほとんど丸投げ(一括下請け)に近い形で大手会社に上請け発注をするケースがあります。

建設業法おいて、原則として一括下請は禁止され、特に、公共工事の場合、一括下請は全面的に禁止されています(詳細は取引上の問題⑥「請負契約と下請契約」をお読みください)。にもかかわらず、公共工事を一括下請けするケースが存在します。

このページでは、上請行為が行われる原因や、上請行為の問題点についてご説明させていただきます。

2.上請けが起こる問題点と原因

建設業において上請けが問題になる典型的なケースは、元請業者である中小業者がなんら有益な役割を果たさず、単に中間マージンを取るだけで、工事を大手業者に丸投げする場合です。特に公共工事においてこのようなケースが多くなります。

公共工事で上請けが行われる場合、そもそも工事を発注する地方自治体が下請けの大手企業に直接に発注していれば、中間マージンを払う必要がなくなるわけですから、その分納税者の負担も減ります。また、下請けの大手企業の方が技術的にも経済的にも優れているため、大手企業に直接発注した方が工事費用を削減することができます。地方自治体が納税者の利益を考えているのであれば、上請けを行うべきではありません。

にもかかわらず、現実には公共工事で上請けが行われています。これは、地方自治体が、地元の中小業者に優先的に工事を発注するような政策を取っていることに起因しています。すなわち、多くの地方自治体は、公共工事の発注にあたり、指名競争入札制とランク制度を導入しています。これにより、発注工事を分割し、地元の中小事業者しか入札に参加できないようにすれば、実際の施工能力は考慮しないまま地元の中小企業に優先的に工事を発注することになり、受注した地元業者が全国的に活動する大規模事業者に上請けする、という現象が起きているのです。

地方自治体から公共工事を受注した地元業者は、ほとんど何もせずに大規模事業者に上請けするだけで2割ともいわれるマージンを得ることができます。そのため、上請行為は適正な競争を妨げ、コスト縮減等の支障となるとともに、中小事業者が技術力・経営力を向上させようとする意欲を削ぎ、ひいては建設業の健全な発展を阻害することになります。

3.施工体制台帳

本来、建設工事を施工するためには、元請業者が一括下請することは許されず、下請などの建設業者全体を監督し、建設工事全体の施工を管理することが必要です。これにより、施工能力を有しない不良・不適格な事業者を排除し、安易な重層下請の防止を図ることにより、建設工事の適正な施工が確保されます。

このような観点から、平成26年の建設業法改正により、公共工事について、平成27年4月1日以降に発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、当該工事について下請契約を締結した場合、下請金額に関わらず、施工体制台帳の作成が義務付けられるようになりました(法24条の8)。また、民間工事では、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、4000万円(建築一式工事の場合は6000万円)以上の仕事を下請に出すときにも、施工体制台帳の作成が義務付けられています。

さらに、建設業法及び入契法の一部を改正する法律や、建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令等により、施工体制台帳の記載事項として、新たに監理技術者補佐の氏名などが追加されるとともに、作業員名簿を施工体制台帳の一部として作成することとされました。

4.施工体制台帳に記載すべき内容など

施工体制台帳には、建設工事を請け負った全ての業者名、建設業者が請け負った建設工事に関する事項(工事名、内容、工期等)、工事現場において各業者が分担する施工範囲、工事現場に設置する技術者の氏名などを記載しなければなりません(建設業法施行規則14条の2)。また、施工体制台帳は、建設工事の目的物を発注者に引き渡すまでの間、工事現場ごとに備え置くことになっています(建設業法施行規則14条の7)。また、建設工事の完成後は、担当営業所において、建設工事の目的物の引渡しから5年間(新築住宅の場合は10年間)、施工体制台帳を保存しておかなければなりません(建設業法施行規則28条)。

さらに、公共工事については、作成した施工体制台帳の写しを注文者に提出しなければなりません(入札適正化法15条2項)。民間工事については、発注者から請求があれば、施工体制台帳を閲覧できるようにしなければなりません(建設業法24条の8第3項)。

なお、民間工事においては、あらかじめ発注者の同意を得た場合には、一括下請が可能になります。しかし、一括下請が可能な場合であったとしても、施工体制台帳の作成義務は免れません。元請業者には施工体制台帳作成義務がありますし、施工体制台帳に一括下請である旨を記載する義務があります。

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