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1.建設業界における不祥事

労災

労働災害(以下「労災」といいます。)に関する不祥事として、いわゆる「労災隠し」が挙げられます。労災隠しは、頻繁にニュースにも取り上げられています。

例えば、大手アルミ製品製造会社が、平成30年2月9日にアルミニウムの加工作業中に起きた労災事故を報告しなかったとして、労働安全衛生法違反の疑いで、書類送検されたことがニュースとして取り上げられたことがあります。

このようなニュース等による報道のほか、厚生労働省のウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html)において「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として、労災隠しなどによって検察庁に送検された事件などについては、企業の実名が公表されています。

このように、労災隠しを行った企業の実名が報道された場合、企業のイメージに与える悪影響は計り知れません。しかし、労災隠しについて十分な認識がない方もいらっしゃるかと存じます。

そこで、建設業界における労災保険の仕組みと、労災が生じた場合の対処方法、及び、労災隠しとは具体的にはどのような行為で、どのような罰則が科されるのかについて、以下ご説明いたします。

2.建設業の労災

建設業の労災請求の特徴

建設業の場合、同じ現場で元請、下請、孫請といった様々な事業所の労働者が一緒に働くことが多くなります。そのため、現場で労災事故が起こったときの労災保険の給付請求の手続が、一般の事業所で生じた労災とは異なります。

本来、労災保険は自社で雇用している労働者の業務上の災害、及び、通勤途上の災害に対して、事業主が災害の事実を証明して、被災労働者が労働基準監督署に給付を請求することによって補償を受ける制度です。

しかし、建設業の場合、現場で発生した労災については、その工事の元請事業所が、元請の労働者だけでなく下請、孫請事業所の労働者も自社の労働者とみなして、災害の事実を証明することになります。つまり、現場の労災事故の給付請求書は、元請工事の事業所の労災保険番号を記載して提出することになります。

そのため、下請事業所の労働者が災害に遭ったときの休業補償請求書は、被災労働者と下請事業所と元請事業所で内容を確認した上で労働基準監督署に提出することになります。ただし、被災労働者が死亡又は休業した時に提出する「死傷病報告書」については、元請事業所ではなく下請事業所が作成して提出することになります。

建設業の労働保険料

労働保険料の計算方法も、一般の事業所と建設業の現場では異なります。一般の事業所では、労働者に支払った賃金に基づいて労働保険料が算出されることになります。一方、建設業の現場では、元請工事の工事代金に基づいて労働保険料を計算します。

要するに、建設業の現場においては、元請事業所が下請、孫請の労働者の分もまとめて労働保険料を納付していることになります。そのため、労災が発生した場合は、その元請工事の事業所の労災保険番号で給付を受けることになるのです。

建設業の現場の保険料の計算方法は以下のとおりです。

元請工事代金 × 労務比率 × 労災保険料率

3.労災隠しとは

労災隠しと罰則

事業者は、労働災害が発生し労働者が死亡し、又は4日以上の休業したときは、遅滞なく、死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません(労働安全衛生規則97条)。これを怠った場合又は虚偽の報告をした場合を一般に「労災隠し」と表現します。

労災隠しは労働安全衛生法違反となり、違反した事業主等は50万円以下の罰金に処せられます(労働安全衛生法120条)。
なお、休業がなかった場合又は通勤災害の場合は報告の必要はなく、休業が3日未満の場合は四半期ごと(各期の最後の月の翌月末日までに)の提出となります。

労災隠しの理由

厚生労働省の調査では、労災死傷者数が多いのは、労働者数そのものが多い飲食・小売などの第三次産業や、人手不足・工場の老朽化などが指摘されている製造業となっています。しかし、労災隠しによって書類送検された業種で多いのは、圧倒的に建設業となっています。建設業で労災隠しが多い理由として、以下の点が指摘されています。

業務災害発生によるイメージ低下、入札の指名停止処分などを避けるため

労働基準監督署に事故を報告すると、災害調査や災害時監督が行われ、指導を受けることになります。重大事故と判断される場合には、一定期間の指名停止など、ペナルティが課されることもあります。
中小規模の建設業者の多くは公共工事に依存するため、指名停止は死活問題となります。

メリット制度

大きな工事の場合、労災保険の「メリット制度」により、無事故で終わると保険料の一部が戻ってくる場合がありあます。しかし、事故が起きた場合には、元請けはその戻りをもらえなくなってしまいます。

元請ほか営業上の得意先が第三者行為による加害者であるため

被災労働者が、元請や得意先の行為が労災の原因として申請すると、国は元請や得意先に対し、被災労働者に支払った補償金を請求します(労働者災害補償保険法第12条の4)。そのような事態を避けるため、事業者と被災労働者との話し合い(労災給付分を事業者が肩代わりするなど)により、労災保険の各種給付の請求を行わない場合もあります。

近年、労災に遭った労働者が労働基準監督署に相談に行くことによって労災隠しが発覚することが増えています。一番重要なことは、労災を隠すのではなく、労災が発生しないよう、労働者への指導・教育を徹底することです。

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