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整理解雇(人員選定・手続き)


1.人員選定の合理性

(1) 解雇対象者選定の合理性

 解雇対象者の選定に当たっては、その選び方が公正・妥当であることが必要です。

 整理解雇の対象を決定する基準が、客観的・合理的かつ公平であり、併せてその運用も公正なものであることが求められます。

 基準としては、年齢、勤続年数、雇用形態(正社員かパート化)勤怠、成績の優良・不良などの労働力としての評価、労働者の生活への影響などの評価があげられます。

 人選基準を作成する上での類型として、以下のようなものが挙げられます。

 1.業務能率が低く成績が上がらない者
 2.勤続年数の比較的短い者(ただし、業務上必要な者、成績が特に優秀な者を除く)
 3.配転を要する者で、適当な配転が困難な者
 4.業務に対して非協力的な者
 5.経営に不要と認められる者
 6.欠勤、遅刻、早退の多い者
 7.職場の秩序・風紀を乱す者
 8.素行不良で社員としての体面を汚す者
 9.業務に関する上司の命令に従わない者
 10.他人の生産意欲を阻害する者
 11.上司、同僚間の融和協力の程度の低い者(協調性がない)
 12.離職しても生活への影響が小さい者(扶養家族がいない単身者等)
 13.正社員でない者(非正規雇用者)

 基準をまったく設定しないで行われた整理解雇は、解雇権の濫用として無効となります。

 また、一定の基準が定められていても、基準が極めて抽象的であって、評定者の主観で左右されて客観性が担保されないおそれがある場合には、より詳細な運用基準(評価対象期間、評価項目、評価方法など)を設定し、それに基づいて評価されるべきである、とされています(池貝鉄工事件・横浜地方裁判所昭和62年10月15日)。

 なお、特定の一部門に配属され、その部署が廃止されることが、直ちに解雇の対象者となるというわけではありません。

(2) 裁判例

1.塚腰運送事件・東京地方裁判所平成16年7月8日判決
 輸送部門の縮小により運転手9人の減員が通知され、配転者の選定基準を基本給が高い者の順としたため、全員が労組組合員(半数以上が役員)となった事案。
 裁判所は、人事異動により、基本給及び家族手当には変更がなく、歩合給が時間外手当になるのみであり、人選基準には不合理がないと結論づけています。

②NTT西日本(出向者退職)事件・大阪地方裁判所平成15年9月12日判決
 希望退職について、全従業員を対象としなかった事案で、そのことをもって直ちに違法だとすることはできないと判示しています。

③労働大学(第二次仮処分)事件・東京地方裁判所平成13年5月17日決定)
 人員整理の必要が生じ、該当者の従事する広報と発送の業務を外部受託することとなったところ、この業務に当たっていた当事者が労働組合を結成、会社は該当者3名に対し解雇を通告した事案。
 裁判所は、使用者が解雇の後に人選の基準を明らかにする場合、その人選基準が合理的であり、(1)使用者が解雇当時からそのような基準を設定し、これを公平に適用して被解雇者を人選した、(2)しかし、解雇当時には従業員等に対してその旨を明らかにすることができなかった、(3)かつ、明らかにできなかった理由が存在した、という特段の事情が立証された場合に限り、人選の合理性が根拠づけられるとしました。

④ヴァリグ日本支社事件・東京地方裁判所平成13年2月19日判決
 「幹部職員で53歳以上の者」という年齢を解雇基準とした事案について、早期退職の代償となるべき経済的利益や再就職支援なしに上記年齢を解雇基準とすることは、解雇後の生活に対する配慮を欠く結果になること、幹部職員としての業務が、高齢になるほど業績の低下する業務であるとは認められないことから、基準は必ずしも合理的とはいえない、と判示しています。
 選定の上では、客観的合理的な基準を作成するほか、原則として事前に公表しておくこと、公平を欠く取り扱いをしないことが重要となります。また、特定の労働者のみに大きな不利益が生じる場合は、不利益を緩和するための代償的な措置が必要となる場合もあると考えられます。

2.手続の妥当性

 整理解雇の実施にあたって、労働者・労働組合へ説明・協議手続を尽くしたことが必要とされます。

 労働協約上、人員整理について、使用者に労働組合との協議を義務づける条項がある場合、具体的な人選の基準やその当否について十分な協議をなさずに行われた解雇は、協約違反として無効となります。

 協約がない場合においても、使用者は労働者に対して、整理解雇の必要性とその内容(時期、規模、方法)について納得を得るための説明を行い、誠意をもって協議すべき信義則上の義務を負います。

 したがって、会社は、労働組合、労働者に対して、経営内容、人員整理の必要性、時期、規模、基準について十分説明し、誠意をもって協議を行うことが求められます。

 説明・協議の手続が十分でなかった場合、他の3要件(要素)を満たしていても無効となり得ます。

 裁判例では、労働者(労働組合)に解雇条件の決定手続に対する参加の機会を与えなかったり、具体性のない説明を繰り返すのみで、人員削減の必要性を裏付ける経理資料を提出しなかったり、経理資料を閲覧させたがコピーをとることを認めなかったような場合に、誠実な協議・説明義務が尽くされていないとして、解雇が無効とされた事例があります。

【注意】
弊所では、残業代請求を含む労働トラブルについて、会社経営者様からのご相談(会社側のご相談)のみをお受けしております。 利益相反の観点から、従業員・労働者側からのご相談はお受けしておりませんので、予めご了承ください。

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