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身寄りのない利用者が死亡した場合1(後処理)

1.身寄りのない利用者が死亡した場合

身寄りのない利用者が死亡した場合、身元引受人がいる利用者の場合と比較して、以下の3点について検討を要します。

  1. 遺体の引き取り、火葬・埋葬を誰が行うか
  2. 未払いの施設利用料をどのように回収するか
  3. 遺留品の処分をどうすればよいか

そして、身寄りはないが、成年後見人等が就いていた場合であれば、成年後見人等に身元引受人のように対応してもらえるので、上記の問題は解決します。そこで、まずは成年後見人等が就いていた場合の成年後見人等の対応からご説明します。

2.生前に成年後見人等がいた場合

生前に成年後見人等がいたとしても、本人の死亡により、成年後見人等は本人の法定代理人ではなくなるため、死後の事務については、成年後見人等に代理権はありません。

しかし、成年後見人は、成年被後見人(以下「本人」といいます。)が死亡した場合において、必要があるときは、本人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、

  1. 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
  2. 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済及び
  3. 本人の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(上記(1)及び(2)の行為を除く。)
を行うことができます。

もっとも、このうち上記(3)に該当する行為をするには、家庭裁判所の許可が必要です(民法873条の2)。

そのほか、委任終了時の応急処分義務(民法654条)の準用(同法874条)、管理計算義務(同法870条)、事務管理(同法697条)に基づき、一定の範囲で死後事務がされることもあります。

しかし、一部を除き、死後事務は成年後見人等の義務ではないため、成年後見人等が身元引受人と同様の対応をすることは前提とせずに、対応を検討しておく必要があります。

3.遺体の引き取りと火葬、埋葬

遺体の引き取りと火葬、埋葬

遺体・遺骨の引取りについては、一般的には遺族(相続人)の権利であり、義務であるとされています。

しかし、身寄りのない方が死亡し、相続人が判然としない、あるいは存在しないというような場合には、誰に遺体・遺骨を引き渡せばよいのでしょうか。

墓地、埋葬等に関する法律では、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない」とされています(同法9条1項)。また、費用については、原則として死亡者の遺留の金品等をもってこれに充て、それでも足りない場合は市町村の負担とすることになっています(同法9条2項、行旅病人及び行旅死亡人取扱法)。

なお、相続人や身寄りがあったとしても、ご遺体の引取りを拒んでいるような場合は、上記と同様に扱われます。

成年後見人等がいる場合でも、成年後見人等に遺体の引取義務や埋葬義務はありません。しかし、場合によっては、上記のように成年後見人等が任意で埋葬・火葬、その前提としての遺体の引取りをする場合もあり得ます。

身寄りのない高齢利用者をかかえる施設等では、そのような事態に備えて、可能な限り、成年後見人等との間で利用者が死亡した際の段取りを協議しておくべきであると考えられます。

4.施設の利用料の支払

本人の死亡後、施設の利用に関する未払の利用料がある場合には、その債務は相続人が承継することになるため、本来は相続人に請求すべきことになります。しかし、相続人がいない場合や、相続人がいるかどうかが不明な場合も少なくありません。

また、本人に成年後見人等が就いていた場合には、上記のとおり、「相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済」として支払を受けられる可能性がありますが、就いていなかった場合には支払を受けることはできません。

このように、相続人が不存在または不明で、なおかつ成年後見人等もいなかった場合には、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てを行うこととなります。そして、選任された相続財産管理人に対して未払利用料を相続債務として申し出て、回収することが考えられます。

しかし、相続財産管理人を選任するにあたっては、原則として、申立人が裁判所に予納金を納める必要があります。この予納金の金額は事案の内容により様々であるため、本人の財産や未払利用料の金額との兼ね合いで検討すべきであると考えます。

未払の問題を予防するためには、利用料の請求回数を月に2回にして未払額を小さくしたり、入居時に一時預かり金を受領し、本人が死亡した場合には残りの利用料と相殺できるように契約書に記載しておいたりするなど、予め措置を講じておくことが望まれます。

遺留品の処分

遺留品は相続人に相続されますので、原則として相続人に引き継ぐ必要があります。相続人に無断で処分することはできません。

そこで、まずは、相続人の調査をすることが必要となります。

しかし、調査の結果、相続人が判明しても、相続人が生前に利用者本人との関わりが薄かった場合などは、相続人が引き取りに応じてくれないことも考えられます。

そのような場合に備えて、遺留品の引取り方法について、相続人にとって負担の少ない方法を提案することが望ましいでしょう。例えば、遺留品がそれほど価値のない物である場合には、相続人全員から同意書をもらった上で、施設側で処分するなどです。

相続人調査の結果、相続人がいないことが判明した場合でも、施設が相続財産を勝手に処分することはできません。相続財産管理人に対し、遺留品を引き継ぐ必要があります。

相続人や相続財産管理人に引き継ぐまでの間、遺留品は、善良な管理者の注意義務(以下、「善管注意義務」といいます。)をもって管理する必要がありますので、紛失や毀損することがないよう注意が必要です。

なお、善管注意義務とは、一般的・客観的に要求される程度の注意をしなければならないという注意義務を指します。

なお、相続財産管理人が選任され、相続人調査が実施されても相続人が存在しなかった場合には、利用者本人と特別縁故者の関係にあったものが、利用者の財産の分与を受けることができる制度があります。なかには、報酬をもらって本人の療養看護を行っていた看護師に財産分与が認められた判例(神戸家庭裁判所昭和51年4月24日審判)もあります。

なお、特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者や、被相続人の療養看護を行っていた者のように、被相続人との間に密接な関係があった人で、その人に財産を分与することが被相続人の意思に合致するであろうと思われる人を指します。

 

婚姻届を出していない内縁の妻や夫、事実上の養子や養親がこれに該当します。

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