ケース別債権回収(卸売業、商社)
特有の問題
卸売業、商社の場合(ここではまとめて商社といいます)、特有の問題としては、日々たくさんの掛け取引が発生する点です(ここでのかけ取引とは、現金問屋などのその場での現金決済以外をいいます(振込や手形取引などです))。
小口大口を問わず、様々な取引が発生する点が他の業種とは異なります。
そのほかの特色としては、医療機関などと異なり、従業員の役割分担(事務分掌)は、はっきりとしています。
営業が仕事を獲得し、営業支援が請求書や納品書を送付する、入金は経理が確認するといったように事務分掌は明確なことが多いです。
しかしながら、大口の取引や優良顧客対応に追われ、小口の取引管理(債権回収など)を後回しにしてしまうことが良くあるようです。
債権回収の方法
債権回収以前の問題として、取引を開始する際には、まず与信審査をしっかりと行う必要があります。
簡単な与信審査としては、登記簿を取り寄せる、最低でも2期分の決算報告書(または法人税申告書など)を交付してもらう、そのほか、ホームページを確認したり、実際に審査対象企業に訪問する、という方法があります。
このような審査を経たうえで、信用力に問題がないと判断し、その後、取引開始とするのが良いでしょう。
取引を開始してもすぐにロットの大きい取引、金額の大きい取引は避け、半年から1年をかけて取引を大きくしていくことが望まれます。
また、取引を開始するに当たっては、基本契約書を取り交わすのが良いでしょう。
日々の取引は、発注書と受書で済ますことが多いでしょうが、取引の基本条件は基本契約書に記載しておくことが望ましいです(例えば、決済日や検収、不良品の取扱いなどに関する事項)。
このような手続きを経たとしても、取引先から入金がないことがままあります。
この場合にどのように対応したらよいのでしょうか。
基本的には、一般的な債権回収方法を用います(一般的な債権回収方法は、少額債権回収方法のページをご覧ください)。
商社特有の問題として、取引先の経営破たんという問題があります。
経営が破たんした(破産など)からといって、請求をやめてしまってはいけません。
会社が破産を申し立てたとしても、それで終わりというわけではなく、その後の手続きの中で階差は財産を分配する手続きがあります(配当といいます)。
きちんと債権届出期間内に届出をしていなかったりすると、配当を受け取ることができませんので注意が必要です。