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介護事故8(利用者への暴力)

1.利用者への暴力

グループホームの入居者に乱暴な男性がいて、職員も普段から気をつけていたのですが、職員が目を離したときに、車イスに乗っている他の入居者を車イスから落とし、ケガをさせてしまった

とします。

このような場合、二人の入居者の間、及び、入居者と施設を運営する介護事業者との間は、どのような法律関係になるのでしょうか。

まず、ケガをした入居者は、ケガをさせた入居者に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求することが考えられます(民法709条)。

また、介護事業者が、入居者との契約上、入居者の安全に配慮する義務(安全配慮義務)を負っています。そのため、入居者同士の争いの発生を予測でき、その争いを事前に防止できたにもかかわらず、何らの措置も講じないなど事前の防止を怠ったと認められるような場合には、介護事業者は安全配慮義務違反(債務不履行)による損害賠償責任を負います。

以下、ケガをさせた入居者及び介護事業者の責任について詳しくご説明いたします。

2.ケガをさせた入居者の責任

入居者が、他の入居者にケガをさせてしまった場合、入居者間に契約関係はありませんから、ケガをさせた入居者は、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。

不法行為に基づく損害賠償責任とは、わざと(故意)又は不注意(過失)による行為によって、他人にケガなどの損害を発生させた場合に、その損害を賠償する義務を意味します(民法709条)。

なお、ケガをさせた入居者が重度の認知症である場合など、不法行為に基づく損害賠償責任を負わない場合もあります。

その理由は、不法行為責任をはじめ、民法においては、他人に損害を与えたとき、故意又は過失がなければ、加害者は責任を負わないとされていますが、(過失責任の原則)、自分の行為による損害の発生と責任の負担を認識し、自分の行為をコントロールできない人に対しては、責任を課す根拠に欠けると考えられているからです。

ケガをさせた入居者に任能力がない場合、誰も損害賠償責任を負わないのであれば、被害者は一切救済されないことになってしまいます。
そこで、民法714条は、責任能力がない者が損害賠償責任を負わない場合は、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者が、被害者に対して損害賠償責任を負うとしています。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、監督義務者は責任を免れます(同条1項)。

そして、監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う(同条2項)とされていることから、ケガをさせた入居者を親族等の監督者に代わって監督している介護事業者が損害賠償責任を負う可能性があります。

3.介護事業者の責任(安全配慮義務違反)

介護事業者は、通常、契約上の責任として、サービスの提供にあたり、契約者の生命、身体の安全に配慮すべき義務(安全配慮義務)を負っています。

なお、介護事業者の安全配慮義務は、介護事業者であることから当然に認められるものではなく、介護事業者と利用者との契約内容から、介護事業者がどのような安全配慮義務を負っているのかを具体的にします。

ただし、介護事業の性質上、ほとんどの場合で(程度の違いはあるとしても)、安全配慮義務を負っていると認定されることになると思われます。

そして、事故の発生を予見することが可能であり、事故の発生を回避することも可能だったにもかかわらず、何ら防止策を講じることがなかったような場合には、安全配慮義務に違反したといえます。
そして、安全配慮義務に違反したか否かは、事故発生までの入居者の行動傾向や体格、性格などさまざまな具体的事情を考慮して判断されます。

冒頭の設例と類似のケースの裁判例(大阪高等裁判所平成18年8月29日判決)では、

  1. 介護職員の注意にもかかわらず、男性入居者が、2度3度と重ねて執拗に車イスを使用している入居者の車イスを自分のものであると主張していたこと
  2. 当該主張に際し、車イスを揺さぶり、車イスに乗っている入居者の背中を押していたことから、介護職員の説得に応じず、その後も継続して車イスを使用している入居者に対して同様の行為をすることは十分に予測可能であった
と認定しています。

そして、男性入居者は日頃から暴力的で、若い頃に体力仕事をしていたことから腕力が強かったのに対し、車イスを利用していた入居者は体重も軽く小柄な体格であったことから、男性入居者が車イスを揺さぶったり、背中を押したりすれば、車イスから転落し、事故に至ることは容易に予見可能であったとしています。

このように、事故の発生を容易に予見することができたにもかかわらず、介護事業者は、男性入居者を単に説得し自室に戻すことしかしませんでした。

裁判所は、介護事業者は、車イス利用の入居者を他の部屋や階に移動させるなどして両者を接触できないようにし、車イス利用の入居者の安全を確保すべきであったと判断し、このような措置を講じなかった点をもって、介護事業者の安全配慮義務違反を認定し、損害賠償請求を認めました。

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