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1.労働者の少子高齢化

 

国土交通省によると、1997年時点では、建設業の就業者のうち、55歳以上は23.5%で、29歳以下の割合は22%でした。つまり、1997年の時点では、中高齢労働者の数と若年労働者の数はそこまで変わりませんでした。

 

しかし、2015年になると、55歳以上の割合は33.8%にまで上昇する一方で、29歳以下の割合は10.8%にまで減少しています。今後、中高年の従事者の引退が進むと、ただでさえ人手不足と言われている建設業の人手不足がさらに深刻化します。

 

日本全体が少子高齢化しているため、建設業だけの問題ではないと思われるかもしれません。しかし、全産業だと55歳以上は29.2%、29歳以下は16.2%となっているので、建設業界は特に少子高齢化が進んでいる分野です。この背景として、他の業種と比べて残業が多い、「現場の仕事は肉体労働できつい、高所作業などがあり危険、工事現場は汚い」というイメージを持たれていることなど、様々な要因が考えられています。

 

中高年の労働者は、長年培った知識・経験・技術を有しているので、中高年労働者がいてくれると心強く、安心して作業が行えると思います。他方、年齢とともに身体の機能が低下し、労働力が低下する可能性もありますし、作業中にケガなどをした場合、大きな怪我に繋がりやすく、若年者に比べて治療が遅くなるという事情もあります。

 

このページでは、中高年労働者に配慮すべき点をご説明させていただきます。

2.中高年齢者への安全配慮義務

 

労働契約法5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定されています。いわゆる「安全配慮義務」と呼ばれるものです。

 

さらに、労働安全衛生法62条では、「事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行うように努めなければならない。」と定めています。これは、事業者に対して、中高年齢者の配置について、労働災害防止の観点から、その心身にみあった適正な配置をするよう要請したものです。なお、中高年者の具体的な年齢について、労働安全衛生法に規定はありませんが、おおむね50歳以上を中高年齢者と想定しています。

 

建設業における中高年齢者の労災のうち、「墜落・転落」が約4割、「転倒」が約1割となっています。他業種と比べると、墜落・転落の割合が圧倒的に多くなっています。そのため、墜落・転落や転倒については、特に配慮することが必要になります。

3.心身機能の低下

 

中高年齢者に配慮する、といっても、具体的にどのような心身機能の低下がみられるのか理解していなければ、十分な安全配慮はできません。そこで、年齢にともなう心身機能の低下のうち、建設業と関連のあるものをご説明します(もちろん、個人差はあります)。

(1)バランス感覚

早い時期から低下が始まります(20代がピークと言われています)。

(2)筋力低下

筋力の低下は、脚力(20歳以降から低下)で始まり、体の上方へ向かい手の指先へと進みます。手は日ごろからよく使うので、低下はゆるやかと言われています。

(3)とっさの動き

危険回避にはとっさの動きの早さと正確性が必要です。この能力は10代後半がピークで、そこから急激に低下してくといわれています。

(4)聴力

加齢とともに低下します。特に、音の聞き分けがしにくくなります。

(5)回復力

回復力が低下し、病気や怪我が治りにくくなります。また、体を動かした後の回復も遅くなります。

(6)記憶力

短期記憶は加齢とともに急激に低下します。

4.対策

(1)直接対策

ア.墜落・転落防止対策

平衡感覚の低下により、体のバランスがとれず「墜落・転落」するケースです。先述のとおり、建設業では圧倒的に墜落・転落が多いので、昇降設備の改善など、設備や作業方法を改善しましょう。

イ.転倒防止対策

雨が降ったあとなどの滑り、床の凸凹などに注意するようにしましょう。転倒防止のためのチェックポイントを作成するのも効果的です。

ウ.重量物取扱い方法の改善

荷の取り扱いや運搬作業は、高年齢者にとって、荷が重すぎてバランスを崩したりする原因となります。複数名で分担するなどの配慮が必要となります。

(2)間接対策

ア.安全衛生教育の実施

高年齢労働者本人が、加齢に伴う心身機能の変化を自覚していない場合があります。そのため、安全衛生教育によって身体機能の低下が労働災害を引きお起こす可能性があることを理解してもらう必要があります。

イ.作業手順書等の改善

高年齢者の心身機能の低下を踏まえて、作業手順書等の見直しや管理体制の整備も重要です。

ウ.体力状況の把握

労災防止のため、事業者、高年齢労働者双方が高年齢労働者の体力の状況を客観的に把握し、事業者はその体力に合った作業に従事させるとともに、高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、主に高年齢労働者を対象とした体力チェックを継続的に行いましょう。

5.まとめ

 

ここまで、中高年労働者に配慮すべき事項をご説明させていただきましたが、これらはほんの一例にすぎません。重要なのは、心身機能の低下には個人差があるので、中高齢労働者と向き合い、有している経験・知識・技術を生かしながら安全に働ける環境を整備することです。

 

職場環境の整備などでお悩みの方は、ぜひ一度弊所にご相談ください。

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