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高齢者施設の人事労務3(パワハラ)

1.事業所内のパワーハラスメント問題

施設内の従業員間にグループや派閥があり、いじめやパワーハラスメント(以下「パラハラ」といいます。)にあった従業員が退職してしまった

とします。

このような場合、事業者は、安全配慮義務に基づきパワハラを防止すべき義務を負っていることから、その義務を怠ったとして債務不履行責任を負う可能性があるほか、パワハラを行った従業員の行為について使用者責任を負う可能性があります。

パラハラとは、同じ職場で働く者に対して、地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、適正な範囲を超えて、「精神的・身体的苦痛を与える行為」または「職場環境を悪化させる行為」をいいます。

具体的には、以下の6つの行為に分類されます。

パワハラの6類型

  1. 暴行、傷害(身体的な攻撃)
  2. ひどい暴言や侮辱、脅迫(精神的な攻撃)
  3. 職場内の人間関係からの隔離(人間関係からの切り離し)
  4. 業務上不要なことや不可能なことの強制(過大な要求)
  5. 合理的理由なく仕事を与えないこと(過小な要求)
  6. プライベートへの過度の立ち入り(個の侵害)

以下、パワハラが発生した場合の事業者の責任と、事業者としてパワハラ防止のために事業者が行うべき防止措置等についてご説明いたします。

2.使用者の法的責任

使用者の責任

パワハラが発生した場合、加害者本人だけでなく、事業者も損害賠償責任を問われることがあります。この事業主の損害賠償責任の法的根拠には、債務不履行責任と不法行為(使用者責任のほか、事業者自身の不法行為責任)があります。

債務不履行責任

上述のように、使用者には、労働契約上の付随義務として、職場環境配慮義務があります。
よって、パワハラ防止策をとっていない場合など、使用者の行為(あえて特定の行為をしない場合を含みます)が、労働契約上の安全配慮義務に違反していると認められる場合には、職場環境配慮義務違反として損害賠償義務を負うことになります(東京高等裁判所平成15年3月25日判決)。

不法行為責任

使用者責任

事業者は、従業員が「業務の執行について」他人に損害を与えた場合には、その加害者である従業員と連帯して、損害賠償責任を負います(民法715条1項)。

使用者責任における「業務の執行」の範囲は広く、本来の職務執行だけでなく、外形上、職務との関連性が認められる行為も含みます。例えば、会社の内規に反し、会社の車を私用に用いて事故を起こしたような事例でも、使用者責任が認められたことがあります。

この使用者責任は、事業主が、「従業員の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは免責」されます(同項ただし書)が、免責が認められた裁判例はほとんどありません。

なお、使用者責任によって事業者が支払った損害賠償金は、加害者に求償を求めることが可能です。もっとも、使用者から従業員に対する求償を制限した判例もありますので、必ずしも全額求償できるとは限りません。

事業者自身の不法行為責任

使用者の行為態様自体が、その権限の範囲の逸脱、濫用と評価されて、不法行為に該当すると認められる場合もあります。
最高裁判所平成7年9月5日判決では、従業員が特定の政党の党員又はその同調者であることのみを理由とし、職場の内外で従業員を継続的に監視する態勢を採った上、会社の経営方針に非協力的な者であるなどとその思想を非難して、その従業員との接触、交際をしないよう他の従業員に働き掛け、種々の方法を用いて従業員を職場で孤立させるなどの行為が、会社としての方針に基づいて行われたことを理由に、会社が直接従業員に対する不法行為責任を負うと判断しています。

3.パワハラについて事業者が行うべき防止措置等について

事業者には、普段から「パワハラのない職場をつくるために必要な対策をする法的な義務」があります。

このような事前対策をすることは、「働きやすい職場をつくること」や、「パワハラによる離職や法的トラブルの予防」につながります。 厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」には、具体的な事前防止策の例として、以下の6つがあげられています。

パワハラについて会社が行うべき防止措置・防止対策の内容

トップのメッセージを明確に伝える。

事業主が、「職場のパワハラはなくすべきものである」という方針を明確に打ち出し、従業員に伝えることが必要です。パワハラのニュースなどが社会的な話題としてとりあげられた際などに、朝礼や会議でパワハラについて話すなどして、パワハラを許さない意向を従業員に明確に伝えましょう。

社内ルールを整備する。

就業規則等で、パワハラ行為を禁止し、パワハラ行為について懲戒を科すことを明記しましょう。

例えば、就業規則の服務規律の項目へ「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の従業員に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害したりするようなこと(パワハラ行為)をしてはならない。」と追記し、懲戒事由の項目へ「パワハラ行為を行ったとき。」と追記します。

社内アンケートで職場環境の実態を把握する。

社内アンケートなどで、職場でパワハラが行われていないか、実態把握のための調査を行うことも事前対策として有効です。

パワハラ防止のための研修を行う。

パワハラ防止のための研修を行うことも有効な事前対策の1つです。

相談窓口や解決の場を設置する。

パワハラ被害を受けた場合の相談窓口を設置し、従業員全員に周知しておくことも、パワハラの事前対策として必要です。

さらに、相談窓口への相談をしやすくするために、相談者のプライバシーが保護されることや、相談したことにより相談者が不利益を受けないことを社内で周知することが求められています。

パワハラ発生時は再発防止のための研修や注意喚起を行う。

施設内でパワハラが発生したときに正しい再発防止策を講じておくことも、パワハラ防止のために重要な対策です。

加害者をパワハラ防止に関するセミナーに外部の研修に参加させるなどして、まずは、加害者が同様の問題を繰り返さないようにすることが必要です。

また、管理職層に、パワハラ発生事例を報告し、同様の問題を起こさないように注意喚起しておきましょう。

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