お子様の奨学金や教育ローンの利用をお考えの方へ
債務整理は奨学金などに影響する?
今後、お子さまが進学する際の資金について奨学金や教育ローンのご利用を予定されている方のなかには、親であるご自身が債務整理手続きをしたことによる影響を心配される方がいらっしゃいます。
まず、奨学金については、通常、借主は進学をするお子さまになりますので、さほど影響はありません。ただし、返済義務のある奨学金を利用するにあたって連帯保証人を付けることが求められる場合には、債務整理をした方を連帯保証人とすることができない場合があるかもしれません。このような場合には、保証金を払って機関保証を付ける必要があるかもしれません。
これに対し、教育ローンは、申込みをする親などが借主となって貸付けを受けることになります。
そうすると、申込者が過去に債務整理をしたことがある、もしくは現在債務整理中であるという情報は、貸付けの審査にあたって障害となり、ローンの申し込みが認められなくなってしまう可能性はあります。
奨学金や教育ローンの支払いが苦しくなったときは
まずは、奨学金の借り入れ先をチェックする必要があります。もっとも有名なものは日本学生支援機構の奨学金制度ですが、その他の奨学金制度や学校独自の制度が設けられていることもあります。
どの機関から借り入れをしているかによって、支払いが苦しくなったときの支払額の減額制度や返済期限の猶予制度の利用条件等が異なります。
このような制度を利用しても支払いが苦しい場合には、任意整理や自己破産等の手続きが必要になることもあります。この場合、連帯保証人となっている親族等に請求がされる可能性がありますので、事前に話をしておく必要があります。場合によっては、連帯保証人についても債務整理をしなければならないことがあるからです。
機関保証を利用している場合でも、代わりに支払いをした保証機関から求償権を行使され、支払いを求められることになります。
滞納を放置していると支払督促や差し押さえをされることも
それぞれの奨学金制度の内容にもよりますが、「奨学金」といっても基本的には、金銭の借り入れです(利率、資金使途、返済条件などが他の借入れと異なります。)。
当初の約束にしたがって分割払いをしなければなりませんし、滞納をすれば遅延損害金が発生してしまいます。
滞納が続くと、信用情報機関にその情報が登録され(いわゆるブラックリスト)、さらに放置した場合には裁判所から元金、利息、遅延損害金を含めた残金の一括返済を求める支払督促申立書や訴状などが届いてしまうことがあります(ただし、信用情報機関への登録同意書を提出している場合に限ります。)。
その後、場合によっては給与等の財産の差し押さえを受けてしまうことがあることも、他のローン等と違いはありません。
「奨学金」だから返さなくてもいいのではないかと考えずに、このようなリスクがあることを理解して奨学金の申込みをする必要があります。
また、奨学金等の支払いが苦しくなってしまったときは、このような事態となる前に、ぜひお早めに弁護士にご相談ください。
日本学生支援機構の奨学金の救済制度
減額返還
災害、傷病や経済的状況により返済が難しい場合に、一定期間、1回あたりの支払い額を半額とし、返済期間を先延ばしすることにより、返済の負担を軽減するという制度です。
ただし、すでに延滞している場合は利用できません。また、返還しなければならない全体の金額が減るわけではありません。
返還期限猶予
災害・傷病や経済的事情により支払いが難しい場合に利用できる制度で、一定期間支払いを停止させてもらうことにより、現在の支払いの負担を減らすと言う制度です。
上記の減額返還と違い、現在の支払いを一定期間停止します。
あくまで支払いの先延ばしを認めてもらうというもので、支払わなければならない金額が減るわけではありません。また、利息が免除されるわけでもありません。
返還免除
奨学金を借りた本人が亡くなったり、精神もしくは身体の障害により労働能力を失ったために返済ができなくなった場合に、残額の全部または一部の支払いが免除されるという制度です。