小規模個人再生手続きの流れ
手続きの流れは、各裁判所の運用によって異なる場合もございます。
弁護士依頼の場合の小規模個人再生手続きの具体的な流れ
1.受任
ご依頼を頂いた後、当事務所から直ちに受任通知を各債権者に発送し、取引履歴の開示を求めます。
受任通知が送られた後は、貸金業者は直接お客様へ取り立てをすることができなくなります。
2.取引履歴の調査(引き直し計算)
当事務所が、貸金業者から開示されたお客様の取引履歴を調査します。
通常、受任通知の発送から1か月~2か月程度で債権者から取引履歴が開示されます(業者によって異なる場合があります)。
当事務所で利息制限法による引き直し計算を行い、正確な借り入れ残高を確認します。この借り入れ残高を前提に、お客様と手続きの方針をご相談させていただきます。
過払金がある場合には、当事務所が貸金業者に対して返還請求をします。
3.申立書類の作成
お客様からお伺いした事情などをもとに、当事務所が小規模個人再生手続きの申立書類を作成します。
また、お客様にも提出書類の収集をお願いすることがございます。書類の入手方法やその他ご不明な点につきましては当事務所の弁護士・スタッフがご案内させていただきますので、ご安心ください。
お送りいただいた資料を確認し、お客様と書類の記載内容を確認させていただきながら、小規模個人再生手続きの申立書類を作成いたします。
4.申立書類の提出・個人再生委員の選任
当事務所が、完成した申立書類を裁判所へ提出させていただきます。お客様に裁判所へお越しいただく必要はございませんのでご安心ください。
ただし、裁判所で申立て書類のチェックが行われる際、裁判所から追加で提出を求められた資料がある場合には、お客様に書類のご送付等をお願いすることがございます。この場合も当事務所の弁護士・スタッフが書類の入手方法その他ご不明な点につきましてご案内させていただきますのでご安心ください。
裁判所で申立て書類のチェックが行われた後は、個人再生委員という立場の人が選任されます(千葉では弁護士が申立てをした場合は個人再生委員は原則として選任されません。)。
個人再生委員は、裁判所の補助をする機関で、申立人(お客様)の財産状況をチェックしたり申立人の再生計画案をチェックしたりします。通常は、弁護士が個人再生委員に選任されます。
5.履行テスト(履行可能性テスト)
また、裁判所が再生計画認可をするかどうかを判断するために履行テスト(履行可能性テスト)が行われることがあります。
これは、将来、再生計画が認可されたとしたら月々支払っていくお金を指定口座に支払わせ、実際に再生計画のとおりに返済をしていく能力があるかどうかを調べるための手続きです。
履行テストを実施する場合には、お客様に指定口座へ指定金額を入金していただくことになります。履行テストの結果が良くない場合には、小規模個人再生手続きを利用することができなくなってしまうことがあります。履行テストに関するご案内も、当事務所の弁護士・スタッフがさせていただきますので、ご安心ください。
6.個人再生委員との面談
裁判所で申立書類の受付が終わった後、個人再生委員と面談が行われます。この面談の前には当事務所の弁護士・スタッフが打ち合わせをし、当日も同行させていただきます。
個人再生委員は、通常弁護士が選任されますので、個人再生委員との面談は当該弁護士の事務所等で行われることが多いです。
ここでは、主に、現在の生活状況や今後の収入の見込みなどについて確認が行われます。
7.再生手続開始決定
6.の面談などから個人再生委員が、再生手続きを始めることの可否について意見を提出します。
裁判所は、この意見等を聞いて、再生手続開始決定をします。
再生手続開始の決定書は、債権届出書と一緒に各債権者(貸主)へ送付されます。これらの書類を受け取った債権者は、それぞれ債権額を裁判所へ届け出ます。
債権届出書が届いた後、申立人(お客様)は、その内容に間違いがないか等の認否を記載した債権認否一覧表を個人再生委員に提出することになります。
この認否の提出も、お客様のご確認のもと、当事務所が行いますので、お客様に書類等をお書きいただく必要はございません。
8.再生計画案の作成
将来の借り入れ等の具体的な返済方法などを記載した「再生計画案」を当事務所が裁判所へ提出します。
再生計画案の作成・提出にあたり、お客様に現在の生活状況等をうかがうことがございます。
9.書面による決議
小規模個人再生手続きでは、再生計画案と議決書が各債権者に送付され、書面による決議が行われます。この決議についてお客様に何か作業をお願いすることは通常ございません。
債権者の数の2分の1以上の反対がなく、かつ、反対する債権者の持つ債権の金額が全体の2分の1以下である場合など法律で定められた要件を満たす場合には、裁判所から再生計画認可決定が下されます(給与所得者等再生手続きの場合は、決議が行われません)。
法律の最低弁済額のルールに従った返済計画であれば、貸金業者が再生計画案に反対することは通常ありません。
10.再生計画認可決定の確定
再生認可決定が下されてから約1か月経過すると、再生認可決定が確定し、その効力が生じます。再生認可決定が確定した翌月から、再生計画に従った返済が始まることになります。
再生計画認可決定の確定後は、お客様において再生計画に従った返済をしていただくことになります。
再生計画に基づく支払いが遅れるとどうなるの?
再生計画に基づく支払いに支払い遅れや滞納があった場合には、再生計画が取り消されてしまうことがあります。
再生計画が取り消されてしまうと、借金のカットなどの再生計画の効力が無くなってしまうことになりますので、元の金額を一括して返済しなければならないことになります。
再生計画の取消しには債権者の申立てが必要なため(滞納があると自動的に取り消されるわけではないため)、1回の支払い遅れであれば見逃してくれる債権者もいますが、法律上は、1回目の支払い遅れであっても再生計画の取消しを受ける可能性があります。