過払い金とは?
「過払い金」とは、ひとことで言えば、「払いすぎた利息」をいいます。
利息を払いすぎる?とはどういうことか、このページで詳しく解説します。
利息制限法の上限金利
金融業者がお金をお客様に貸し付けるときの利息(利率)は、利息制限法という法律によって上限が決められています。
具体的には、貸し付ける際の金額によって3つに分けて定められています。
利息制限法による上限金利 | |
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お借入れ元金 | 上限金利 |
1~99,999円 | 年率20% |
100,000円~999,999円 | 年率18% |
1,000,000円~ | 年率15% |
利息制限法を超える金利も有効?
しかし、以前、金融業者や信販会社・クレジット会社は、お客様に貸付け・キャッシングをする際、24%や27%、場合によっては29%以上の利息を定めて貸付けを行っていました。
どうして利息制限法という法律を上回る利息の定めをしていたのでしょうか。
それは、利息制限法の利率より高い利率で契約しても、「借主が承諾した場合」は年率29.2%を超えなければ良いとされていたからです。
(旧)出資法とは
29.2%という数字はどこから出てきたのでしょうか。
それは、(旧)出資法という法律です。
出資法のもとでは、29.2%(うるう年では29.28%)を超えると、刑事罰の対象とされていたのです。
そこで、金融業者・信販会社・クレジットカード会社は、出資法の刑事罰の対象のとなるギリギリの利息で貸付けを行っていたのです(利息制限法の上限金利と出資法の金利の間の利息のことをグレーゾーン金利といいます)。
最高裁判所による画期的判断
また、先ほど述べた「借主が承諾した場合」という点について、そもそも高い金利であるのに、お借入れをする方はその金利を承諾するのでしょうか。
長い間、各地の裁判所で承諾したか、承諾していないかといった裁判が繰り広げられました。
これらの積み重ねの結果、平成18年に最高裁判所は利息制限法の上限利率を超えて、出資法の上限金利29.2%の範囲内で借り入れした場合、事実上その超過した金利は「無効」とする判決を下しました。
それを受け、国会はお借入れで苦しむ方のために、「貸金業規正法」を改正し、利息制限法を超える「グレーゾーン金利」を廃止することとなりました。
その後、各貸金業者は、弁護士などに依頼して返還を要求すれば、払い過ぎた利息分の返還交渉に応じるようになりました。
業者からの返済表を信用していませんか?
毎月、返済日と返済金額、残債務総額(貸付額)が記載された通知が金融業者から届けられます。
このページをご覧になっている方、この債務総額(貸付額)を信用し、鵜呑みにしていませんか?
実は、この通知に記載された債務総額は見かけの数字である場合があります。
つまり、通知書には「まだこれだけの貸付額があります」としつつ、利息制限法に照らしてみると、「実は、返済が終わっていた!」ということが多くあります。
どういうことか、具体例で説明いたします。
利息制限法の引き直し計算
一番最初にお借り入れをしたときにさかのぼり、当所から利息制限法で定められた上限金利で契約していたら、どうなるか?これを確かめることを利息制限法に基づく引き直し計算といいます。
出資法の上限金利の場合
初回のお借入金60万円。利息29.2%。毎月の返済額15,000円で契約した場合 | |
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時間の経過 | 残債務額 |
1年後 | 593,739円 |
2年後 | 586,008円 |
3年後 | 575,691円 |
4年後 | 561,988円 |
5年後 | 543,638円 |
6年後 | 519,152円 |
...12年後 | 0円 |
利息制限法の上限金利の場合
初回のお借入金60万円。利息18%。毎月の返済額15,000円で契約した場合 | |
---|---|
時間の経過 | 残債務額 |
1年後 | 521,322円 |
2年後 | 427,600円 |
3年後 | 315,547円 |
4年後 | 181,610円 |
5年後 | 21,434円 |
6年後 | -158,146円 |
...12年後 | -1,313,146円 |
色文字は過払いを示します。
利息制限法に基づく引き直し計算の結果
ご覧いただいてお分かりのように、実は、わずか6年後には完済になっているはずである(むしろ過払いが発生しています)のに、業者からの通知書上は、12年しないと返済が終わらないのです。
同じお金なのに、倍の期間、返済を続けなければ、返済が終わらない。
これが金融業者からのお借入れ明細の実態なのです。
できる限り、お早目の相談を!
長期間、お借入れとご返済を繰り返している場合は、「すでに返済はすべて終わっていた」と言う場合があります。
当事務所におけるご相談者の中でもこのようなケースは多くみられます。
過払いのめやす
過払いの目安として、以下のものが挙げられます。
- 利息制限法をこえて出資法(29.2%)で契約していた
- 1つの業者との取引が7年以上続いている
- すでに返済が終わっている。
これらはあくまでも目安にすぎません。
あきらめず、必ず当事務所にご相談ください。