自己破産をするには裁判所に行かなければなりませんか?
基本的に1回は裁判所へ出頭する必要がある
破産事件には、同時廃止事件と管財事件の2種類がありますが、破産管財人のつかない同時廃止事件の場合であっても、少なくとも1回は裁判所へ行き裁判官と面談をしなければならないことが通常です。
さらに管財事件の場合には、事件の内容や複雑さ等にもよりますが、債権者集会などのために複数回裁判所へ出頭しなければならないこともあります。
裁判所の指示にしたがわない場合には、免責を受けられなくなってしまう(=借金を無かったことにできなくなってしまう)危険性がありますので、注意が必要です。
同時廃止事件の場合
同時廃止事件の場合、少なくとも1回、裁判官との面接の機会が設けられます。
東京地方裁判所では自己破産の申立ての日から約2か月後に面接日が指定されていますが、千葉地方裁判所でもおおむね同時期に面接が行われることが多いです。
裁判所の指定にしたがって面接を受けなければ、免責が受けられず、借金の支払い義務がなくならないことになってしまうおそれがあります。
病気などの理由によりどうしても裁判所へ行くことができない場合には、その説明資料(診断書など)を提出する必要があります。
面接ではどのようなことをするの?
面接でどのようなことをするかは、担当する裁判所や裁判官のやり方によってまちまちです。
弁護士を代理人として自己破産の申し立てをした場合には、免責手続きの説明や提出した書類の内容に間違いがないことを確認する程度で、10分ほどで終了することも多いです。
場合によっては、借り入れ等を返せなくなってしまった原因や現在の生活状況について聞かれたり、今後の生活に関する注意点(安易に借り入れをしない、保証人にならない、今後7年間は自己破産等をできなくなるなど)や本当に経済的に立ち直る決意があるかどうか(反省しているかどうか)などを確認されたりすることもあります。
裁判所での面接は、受ける人をふるいにかける手続きではありません。免責が認められない事件は、最高裁判所の統計上、破産事件全体の0.2%以下にとどまっています。
裁判官から質問されたことについては嘘をつかずに答え、裁判官から指摘された点については真摯に耳を傾けることが重要です。
管財事件の場合
破産管財人が選任される管財事件の場合には、裁判所で開かれる債権者集会に出席しなければなりません。また、必要があれば、破産管財人の弁護士の指示にしたがって、面談などを受けなければならないこともあります。
債権者集会とは?
債権者集会とは、債権者に対して、破産手続きの進行に関する情報を報告するとともに、破産管財人の業務の重要な部分について意思決定の機会を与える場です。
一般的には、破産管財人が財産の収支報告を行い、免責についての意見を述べます。債権者に免責について異議がないなど、特に問題がない事件では債権者が出席しないことも多いです。
法律上は、裁判所は、債権者の数やその他の事情を考慮して、債権者集会を開かず、書面によって財産状況の報告や破産管財人の任務が終了した際の計算報告などをすることができます(破産法31条4項、88条、89条)。
ただし、債権者の側から要望がある場合には、裁判所が債権者集会を開かなければなりません。裁判所は、破産管財人、債権者委員会、10分の1以上の債権額を有する債権者の申し立てがある場合には、債権者集会を招集しなければなりません(破産法135条)。ただし、債権者の数その他の事情から招集が相当でないときは債権者集会を開催する必要はなく、債権者説明会などの別の措置をとることもできます。
破産者には、説明義務や調査協力義務があります。債権者集会に出席せず、破産者としての義務を果たさない場合には、免責が認められなくなる可能性もあります。
ご依頼いただいた場合には弁護士が同行します
当事務所に自己破産の申し立てをご依頼いただいた場合には、当事務所の弁護士が、裁判所面接や債権者集会期日へ一緒にご同行いたします。
また、破産管財人から説明や報告を求められた場合にも、当事務所の弁護士がお客様の代わりに対応させていただきます。