クレジットカードの現金化などにはどのような問題がありますか?
現金をすぐに手に入れたいからといって、クレジットカードの現金化に手をつけてしまう方がいらっしゃいますが、クレジットカードの現金化には、詐欺罪に当たるのではないかといった法律問題がひそんでいます。
このページでは、クレジットカードの現金化の問題について説明いたします。
クレジットカードの現金化とは?
クレジットカードの現金化とは、現金を必要としている人にクレジットカードのショッピング枠で商品(家電製品、パソコン、ビール券や乗車券などの金券など色々あります)を購入させ、これを業者が買い取る行為をいいます。クレジットカードの現金化により、カード利用者は現金を手に入れることができます。その代わりに業者は、カード利用者が商品を購入した価格よりも低い金額で商品を買い取り、差額をもうけることになります。
悪質な業者のことを「買取屋」と呼ぶことがあります。
クレジットカードの現金化は脱法行為
カード利用者に商品を購入させた業者は、貸金業法の登録を受けていません。
しかし、クレジットカードの現金化のしくみを全体としてみると、実質的には、業者がカード利用者に対して、(カード利用者の支払い不能のリスクをクレジットカード会社に押し付けて)現金を融資しているのと変わらないといえます。
そのため、実質的には貸金業法に違反する脱法行為として、摘発される可能性があります。
平成21年12月以降、金融庁、経済産業書及び警察庁は、クレジットカード現金化を行う業者を貸金業法に違反する無登録業者として取り締まりを検討しているとのことです。
また、業者が違法な未登録業者に当たる場合は、出資法という法律にも違反している可能性があります。
出資法は、法律で決められた利率以上の利息をとる行為につき刑事罰を定めています。
換金率の低いクレジットカードの現金化が行われた場合、カード利用者が業者から得られた現金とクレジットカード会社へ返済しなければならない金額の差額が大きい場合には、出資法違反となる可能性があります。
そもそも、クレジットカード会社は、クレジットカードの現金化を認めていません(日本クレジット協会は、平成22年4月1日に声明を発表しています)。
はじめからクレジットカード現金化を行う目的で(つまり最初からきちんとした商品の売買を行うつもりを持たずに)クレジットカードを利用した商品の売買を行うことは、刑法の詐欺罪に当たる行為と判断される可能性があります。
また、犯罪として摘発まではされなくても、クレジットカードの現金化がクレジットカード会社に発覚した場合には、クレジットカードの利用停止などの処置を受ける可能性があります。
免責不許可事由となる可能性もあります
また、クレジットカードの現金化は、破産法252条1項2号の「不利益な条件で債務を負担したり、信用取引によって商品を購入し著しく不利益な条件で処分した場合」に当たり、免責不許可事由となる可能性があります。
免責とは
免責とは、借金などの債務の支払義務を免れること(つまり、借金を無かったことにすること)をいいます。
「自己破産をして借金をチャラに」とよく言われますが、厳密にいえば自己破産をしただけでは借金は無くなりません。破産手続きと並行して行われる免責手続きという別の手続により、裁判所から免責許可決定を受けると、借金が無くなるという効果が発生します。
したがって、この免責許可決定が得られないと、自己破産をする意味がほとんどなくなってしまうのです。
免責不許可事由とは
免責許可決定を受けるためには、「免責不許可事由がないこと」が条件とされています。
裁判所は、免責不許可事由がない場合には、免責を認めなければなりません。ただし、免責不許可事由があるからといって絶対に免責許可がされないわけではありません。
裁判所が、破産した人の反省状況やその他の事情などをかんがみ、免責を許す場合があります。このことを「裁量免責」と呼びます。
悪質な買取屋への対応
これまで説明してきたとおり、クレジットカードの現金化は、全体をみると、クレジットカード会社を介していますが、業者が現金を貸し付けているのと変わらないと考える余地があります。
したがって、通常の借り入れの場合と同じように、法定利率を超える利息の約束があった場合には、それを超える部分については無効となる可能性があります。
また、カード利用者の窮状につけこんだ暴利行為として無効となったり(民法90条)、不法行為に基づく損害賠償(民法709条)を請求するという手段も考えられます。
しかし、そもそも、クレジットカードの現金化により当面をしのぐことができたとしても、多くの場合クレジットカードの代金等が払えずにさらに苦境に立たされてしまうことになります。クレジットカードの現金化に手を出す前に、専門家に債務整理を依頼した方がよいでしょう。