慰謝料請求をしたい方-交際の差止請求
不倫相手との交際をやめさせる手段はあるか
配偶者と相手方との不貞行為に対して請求できることは、原則として慰謝料の請求のみとなります。これを金銭賠償の原則といい、民法でも明示されています(民法722条1項、417条)。
しかし、配偶者と相手方が不貞・不倫行為の発覚後も交際を続けている場合、慰謝料の請求だけではなく、二人の交際を止めさせたいという希望をお持ちになる方もいらっしゃいます。そのような請求は法律上可能でしょうか。
払に代えて交際の終了を誓約させることは可能です。また、誓約を破った場合の制裁金などを合わせて決めておくこともできます。
しかし、相手方が交際の終了や慰謝料の支払に応じず、示談や和解が成立しない場合もあります。では、そのような場合、裁判所に対して交際の差止めを求める訴訟を提起し、裁判所が判決をもって、配偶者と相手方が同棲や面会などの交際を差し止めることは可能なのでしょうか。
以下、裁判所に対して交際の差止めを請求するための法的根拠についてご説明した上で、実際に差止請求がなされた裁判例をご紹介いたします。
差止請求の根拠
金銭賠償の原則の例外
上記のとおり、民法では金銭賠償の原則が定められていますが、これは他の手段による解決を認めない、という趣旨ではありません。
例えば、
- 民法723条
- 「他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。」
と定め、名誉棄損の場合は金銭による賠償のほかに、謝罪広告を請求することを認めています。
また、別の根拠による差止請求は民法722条でも否定されていません。現在、法律の規定や判例において、生活妨害(公害など)、名誉棄損・人格権侵害、独占禁止法違反行為、不正競争行為、知的財産権侵害などの事件で差止請求が認められています。
この中で、交際の差止請求の根拠となりうるものは人格権侵害ですので、以下、これについて説明いたします。
人格権に基づく差止請求権の根拠
人格権という権利は民法に明文で規定されている権利ではありませんが、解釈上、人格権に基づく差止請求権を認めるべきであると判例・通説は考えています。
もっとも、行為の差し止めは、行為者本人の行動の自由を事前かつ直接的に制約する事になる上、社会一般に与える影響も大きいため、差し止めが認められるかどうかは、慎重に判断されています。
名誉毀損を理由とする出版物の頒布等を差し止める仮処分が問題となった最高裁判所昭和61年6月11日判決は、「人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解するのが相当である。けだし、名誉は生命、身体とともに極めて重大な保護法益であり、人格権としての名誉権は、物権の場合と同様に排他性を有する権利というべきであるからである。」と明確に人格権に基づく差止請求権を認めいています。
裁判例
上記の最高裁判所の判決に基づいて考えると、配偶者と相手方の交際によって自分の人格権が侵害されており、それを排除又は予防する必要性が認められれば、配偶者と相手方の交際や同棲を差し止めることが認められる可能性があります。実際に同棲等の差止めを求めた裁判例を紹介いたします。
裁判例(大阪地方裁判所平成11年3月31日判決)
「差止めは、相手方の行動の事前かつ直接の禁止という強力な効果をもたらすものであるから、これが認められるについては、事後の金銭賠償によっては原告の保護として十分ではなく事前の直接抑制が必要といえるだけの特別の事情があることが必要である。そこで、本件におけるそのような事情の有無についてみると、原告とA(配偶者)は婚姻関係こそ継続しているものの、平成10年5月ころからAは家を出て原告と別居しており、原告に居所を連絡してもいない。…両者間の婚姻関係が平常のものに復するためには、相当の困難を伴う状態というほかない。そして、原告もまたAの離婚やむなしと考えてはいるものの、Aが被告と同棲したりすることはこれまでの経緯から見て許せないということからAとの離婚に応じていないのである。そうすると、今後被告とAとが同棲することによって、原告とAとの平穏な婚姻生活が害されるといった直接的かつ具体的な損害が生じるということにはならない。同棲によって侵害されるのはもっぱら原告の精神的な平穏というほかない。このような精神的損害については、同棲が不法行為の要件を備える場合には損害賠償によっててん補されるべきものであり、これを超えて差止請求まで認められるべき事情があるとまでは言えない。」
この裁判例では、配偶者が原告に居場所も知らせずに別居していることから、仮に相手方との同棲を差し止めたとしても、原告と配偶者の夫婦関係が現状に回復するとは考えにくいことが差止めを認めなかった理由の一つと考えられます。
既に配偶者と別居しているような場合は、相手方との交際の差止めを法的に実現することは困難であると考えられるため、どうしても実現を希望されるようであれば、他の条件で譲歩しても、示談や和解で実現する必要があると思われます。
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当事務所サービスエリア(千葉県の裁判所管轄と裁判所所在地)
千葉/水戸地方・家庭裁判所管轄区域一覧
本庁 | 支部 | 管轄地域 |
---|---|---|
千葉地方・家庭裁判所 | 千葉市(中央区、花見川区、稲毛区、若葉区、緑区、美浜区)、習志野市、市原市、八千代市、市川市、船橋市、浦安市 | |
佐倉支部 | 佐倉市、成田市、四街道市、八街市、印西市、白井市、富里市、印旛郡(酒々井町、栄町) | |
一宮支部 | 茂原市、勝浦市、いすみ市、長生郡(一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長柄町、長南町)、夷隅郡(大多喜町、御宿町) | |
松戸支部 | 松戸市、野田市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市 | |
木更津支部 | 木更津市、君津市、富津市、袖ヶ浦市 | |
館山支部 | 館山市、鴨川市、南房総市、安房郡(鋸南町) | |
八日市場支部 | 匝瑳市、香取郡(多古町)、山武郡(芝山町、横芝光町、九十九里町)、銚子市、旭市(旧旭市、旧海上郡海上町、旧海上郡飯岡町)、東金市、山武市、大網白里市、 | |
佐原支部 | 香取市、旭市(旧香取郡干潟町)、香取郡(神崎町、東庄町) | |
水戸地方・家庭裁判所 | 水戸市,ひたちなか市,那珂市,鉾田市、小美玉市の内 旧東茨城郡小川町,旧東茨城郡美野里町、那珂郡(東海村),久慈郡(大子町)、 東茨城郡の内 茨城町,大洗町,城里町(七会支所の所管区域を除く。) |
|
日立支部 | 日立市,高萩市,北茨城市 | |
土浦支部 | 土浦市,つくば市、つくばみらい市、 かすみがうら市の内 旧新治郡霞ヶ浦町、 稲敷郡の内 阿見町 美浦村、石岡市、 かすみがうら市の内 旧新治郡千代田町、 小美玉市の内 旧新治郡玉里村 |
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龍ケ崎支部 | 龍ケ崎市,牛久市,稲敷市 、 稲敷郡の内 河内町、 取手市、守谷市、北相馬郡(利根町) |
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麻生支部 | 鹿嶋市,潮来市,神栖市,行方市 | |
下妻支部 | 下妻市,常総市,結城郡(八千代町)、結城市,筑西市、 桜川市の内 旧真壁郡真壁町、旧真壁郡大和村、 古河市、坂東市、猿島郡(五霞町 境町) |
千葉/水戸地方・家庭裁判所所在地一覧
本庁 | 支部 | 管轄地域 |
---|---|---|
千葉地方・家庭裁判所 | 千葉県千葉市中央区中央4-11-27(JR総武線・内房線・外房線千葉駅から徒歩15分、京成千葉線千葉中央駅から徒歩8分) | |
佐倉支部 | 千葉県佐倉市弥勒町92(JR総武本線佐倉駅から徒歩30分、京成本線京成佐倉駅から徒歩15分) | |
一宮支部 | 千葉県長生郡一宮町一宮2791(JR外房線上総一ノ宮駅から徒歩3分) | |
松戸支部 | 千葉県松戸市岩瀬無番地(JR常磐線松戸駅から徒歩7分) | |
木更津支部 | 千葉県木更津市新田2-5-1(JR内房線木更津駅から徒歩8分 | |
館山支部 | 千葉県館山市北条1073(JR内房線館山駅から徒歩15分) | |
八日市場支部 | 千葉県匝瑳市八日市場イ2760(JR総武本線八日市場駅から徒歩15分) | |
佐原支部 | 千葉県香取市佐原イ3375(JR成田線佐原駅から徒歩15分) | |
水戸地方・家庭裁判所 | 茨城県水戸市大町1-1-38(JR常磐線水戸駅北口徒歩約10分) | |
日立支部 | 茨城県日立市幸町2-10-12(JR常磐線日立駅中央口から徒歩約10分) | |
土浦支部 | 茨城県土浦市中央1-13-12(JR常磐線土浦駅西口から徒歩約15分) | |
龍ケ崎支部 | 茨城県龍ケ崎市4918(JR常磐線佐貫駅から関東鉄道竜ヶ崎線竜ヶ崎駅下車徒歩約20分, 又は竜ヶ崎駅からバス(江戸崎行き等)乗車5分,観音前停留所下車徒歩3分) |
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麻生支部 | 茨城県行方市麻生143(JR鹿島線潮来駅から車,タクシーで約20分) | |
下妻支部 | 茨城県下妻市下妻乙99(関東鉄道常総線下妻駅から徒歩約15分) |