少額債権回収の特徴
少額債権回収の必要性
少額(例えば100万円以下)の債権であっても、きちんと管理することが基本です。
例えば、青色申告会社の場合、必ず、売掛帳が存在すると思います。
売掛帳に、債権発生日(売買日、受注日)のほか、取引先からの代金支払日を適用などに記載するだけでも意識が変化します。
そのほか、エクセルなどを用いて、取引先からの代金支払日を時系列に並べるなどするとよりよく分かるようになります。
まずは、このように管理することが少額債権回収の基本となります。
社内不正の温床
仮に、全く少額債権を管理しないとなるとどうなるでしょうか。
例えば、社内の不正の温床となりかねません。
つまり、どうせ回収できない債権だから、と経営者が放置してしまうと、たまたま回収できても、従業員はそれをポケットに入れてしまい、会社には回収できませんでしたと報告することを許してしまうことになります。
もともと回収できないと思っていますから、虚偽の報告を見破ることが難しくなります。
同業者からの軽視
そのほか、同業者からの軽視という問題があります。
つまり、〇〇さんのところは取立てが緩いから支払いを後回しにしよう、と考える同業者がいないとは限りません。
回収の困難さ
上記以外にも、回収しないとなると、本業で何倍もの労力をかけなければいけない、というリスクもあります。
例えば、単価100万円(利益20万円)の商品を売った場合、100万円を回収できないとなると、400万円分の商品を売らないと、元がとれないことになります(400万円の売買で未回収の商品原価にしかならない点に注意が必要です。実際は、4個の商品を売るのに人件費や営業費もかかりますから、4個では元が取れないことが多いと思います。)。
税務上の問題
回収できたか否かに関わらず、取引後、当期中に売り上げ計上をすれば、当然、法人税及び消費税(預り消費税)の課税対象となります。
税務上(税務署)は発生主義を基本としますから、回収できたか否かに関わらず、売り上げ計上した時点で課税対象となるのが基本です。
したがって、少額であっても債権回収をしないと、税務上不利になります(もっとも、適切な損金処理がなされれば事実上債権回収ができたのと同じ効果が得られます。損金処理は各企業様の置かれた状況により異なりますので公認会計士や税理士と相談の上実施してください。)。