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整理解雇(解雇回避努力)


1.解雇回避努力義務

 整理解雇は、業績不振・業務縮小など経営者側の事情に基づく事由によるものであり、労働者に責任のない事由により労働者を失職させることになるため、企業は、できる限り整理解雇を避けるための努力をする必要があります。

 解雇回避努力義務は、企業の経営状況、企業規模、従業員構成などを踏まえて個別具体的に判断されます。

 一般的には、希望退職者の募集、労働時間の短縮、一時帰休、配転等なしうる解雇回避努力の検討が必要とされています(九州日誠電気事件・熊本地方裁判所平成14年8月30日決定など)。

2 希望退職者の募集・時短・配転等は必要か

 解雇回避努力義務は,当該具体的事情のもとにおいて、状況に応じて解雇回避の努力をなす義務です。

 そのため、企業の経営状況、企業規模、従業員構成などを踏まえて個別具体的に判断されます。上記のような一般的な解雇回避策といわれるものが採られていなくとも、整理解雇が必ずしも無効となるものではありません。

 例えば、タクシー会社において、無線部門の廃止に伴う人員整理として解雇がなされた事案で、当該労働者(原告)が運転免許証を所持しておらず、乗務員としての配置転換ができなかったこと、他に配置転換が可能な事務職がなかったことから、原告の家庭状況も考慮した上で解雇とした会社側の判断を有効とした事例があります(北海道交運事業協同組合事件・札幌地方裁判所平成12年4月25日)。

 また、長年にわたり生麺の製造業務に従事してきた従業員に対し、工場閉鎖に伴い、配転や出向、転籍を提案することなく整理解雇した事案において、当該従業員(原告)の経験や業務の内容、会社の状況等を検討した上で、会社が原告に対して、他の工場への転勤、関係会社への出向、転籍を提案する現実的な可能性はなかったとして、解雇回避努力を欠き不当なものであるとは言えないと判断しています(東洋水産川崎工場事件・横浜地方裁判所川崎支部平成14年12月27日判決)。

 特に中小企業では、適切な配置転換を行えるポストがなかったり、出向先を確保することができないといった状況にあることも珍しくありません。上記判決は、このような事情を考慮した上で、事案に即した判断を行ったものと考えられます。

3解雇回避努力の具体例

 解雇回避努力の具体例として、以下のようなものが考えられます。

(1) 残業の削減や勤務時間短縮の措置

 人件費を減らすために残業に規制をかけたり、勤務時間を全体や部署によって短縮することで、コストカットにより解雇を回避しようとした行動と認められやすくなります。

(2) 新規採用の削減や中止

 新規採用を行う余力があるのであれば、原則として、整理解雇を行う必要が有るとは認められにくくなります。
 ただし、内定取り消し等を行った場合、その有効性が別途問題となりうるので、慎重な対応が必要です。

(3) 社内での配置転換、別部署への異動

 ある部署が不調で人件費の調整が必要となった場合に、他の部署へ異動させることで状況を改善できる可能性があります。
 もっとも、中小企業では転換すべき部署が存在しない場合もあり、実施が不可能な場合もあります。

(4) 会社資産の売却

 会社が保有している資産を売却し、経営資源の補充に利用した事実は、解雇を回避するための行動と認められやすくなります。

(5) 役員報酬のカット

 役員報酬の削減は、非常に重要な要素となります。会社経営陣の役員報酬をカットしていれば、自らの身を切ったとして、解雇回避努力と認められるケースが多くなります。

(6) 給与の一部カット、賞与の減額や支給停止

 給与や賞与の削減により、会社全体で分かち合って解雇を回避するための努力をしていると認められやすくなります。
 ただし、就業規則で定められた給与(基本給)を会社が一方的に切り下げることは、就業規則の不利益変更となるため、合理性がある場合を除き認められません。この場合、会社側が事情を説明し、個々の労働者や労働組合の同意を得ることになります。

(7) 一時休業期間を設ける

 人件費負担を減らすために、全体か一部の部署に限って、一時的に会社都合の休業としてしまう期間を作ると、解雇を回避しようとしていると考えられやすくなります。

(8) 望退職者の募集

 解雇回避努力を判断する上で非常に重要な要素です。退職金の増額など、有利な条件を提示して退職者を募ってきた経緯があると、人員整理が必要な状況であると認められやすくなります。
 他方、希望退職者がいたにもかかわらず、その従業員らを慰留して他の従業員を指名解雇したような場合、解雇が無効とされる可能性があります。

(9) 雇用調整助成金の利用

 雇用調整助成金とは、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成されます。
 このような助成金や公的給付の活用も、解雇回避努力の一手段として考慮されるでしょう。

【注意】
弊所では、残業代請求を含む労働トラブルについて、会社経営者様からのご相談(会社側のご相談)のみをお受けしております。 利益相反の観点から、従業員・労働者側からのご相談はお受けしておりませんので、予めご了承ください。

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