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施設運営での注意点2(利用者の身体拘束)

1.身体拘束禁止の原則と例外

(1)身体拘束禁止の原則

法令上、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム(中でも、入所定員が30名以上で、都道府県知事に指定された指定介護老人福祉施設)などの施設については、厚生労働省が定める施設運営基準(いわゆる介護保険指定基準)において、「当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむをえない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為を行ってはならない。」と、身体拘束禁止の原則が定められています。

そして、この身体拘束禁止の原則は、法令上の規定はなくとも、上記の施設以外においても適用されると考えるべきです。身体拘束は、人間としての尊厳を著しく害する行為であることに加え、後述のとおり、様々な弊害を招くおそれがあるからです。

(2)身体拘束禁止の原則の例外

前記のとおり、いわゆる介護保険指定基準においても、「緊急やむをえない場合」には、身体的拘束を許容する余地があるとしています。ここで「緊急やむを得ない場合」とは、厚生労働省が平成13年3月に発表した「身体拘束ゼロへの手引き~高齢者ケアに関わるすべての人に~」(以下、「手引き」といいます。)において、「切迫性」「非代替性」「一時性」を充たす場合であるとされています。

切迫性

利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。

非代替性

身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと。

一時性

身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること(必要最低限の拘束時間であること)。

厚生労働省老健局長が各都道府県知事に宛てた通知において、「緊急やむをえない場合」は極めて限定的に考えなければならないとされており、例外的に身体拘束を行うときには、その態様、時間、入所者(利用者)の心身の状況及び緊急やむを得なかった理由を記録することが義務付けられています。この点、手引きに例示されている「身体拘束に関する説明書・経過観察記録」なども参考にできます。施設や担当職員を守るためにも是非記録を残すようにしてください。

2.身体拘束の弊害

そもそも、身体拘束は、人間としての尊厳を著しく害する行為であり、人権擁護の観点から問題がある(憲法18条は「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。」と定めています)だけでなく、高齢者のQOL(生活の質)を根本から損なう危険性を有し、原則として、高齢者虐待にも該当する行為です。しかも、以下のように、(1)身体的弊害、(2)精神的弊害、(3)社会的弊害、を招くおそれがあるものです。

身体的弊害

身体を動かせないことによる関節の拘縮、筋力の低下といった身体機能の低下、圧迫部位の褥瘡の発生、食欲の低下等

精神的弊害

利用者に不安や怒り、屈辱、あきらめといった大きな精神的苦痛を与え、認知症状が進行するおそれがある。 また、利用者の家族も、利用者が拘束されている姿を見ることで、大きな精神的苦痛を受ける。 そして、看護・介護スタッフは、自らが行うケアに対して誇りを持てなくなるおそれがある。

社会的弊害

施設に入所すると身体拘束されてしまうという誤解や、介護保険施設等に対する社会的な不信、偏見を引き起こすおそれ等

このような弊害を踏まえ、厚生労働省は前記の手引きを発表し、身体拘束のないケアを呼びかけ、その方法を紹介しています。
そのタイトルからも分かるとおり、法令で身体拘束の原則禁止が定められた施設に限らず、すべての高齢者福祉サービス関連事業者及び従事者は、身体拘束を極力実施しないということを肝に銘じなければなりません。

3.身体拘束の種類のその必要性

身体拘束の種類

では、実施してはならない身体拘束とは具体的にはどのような行為を指すのでしょうか。この点について手引きには、以下のような具体例が挙げられています。

  1. 徘徊しないように、いすや車いす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  2. 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
  3. 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
  4. 点滴、経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
  5. 点滴、経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
  6. 車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
  7. 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
  8. 脱衣やおむつはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
  9. 他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
  10. 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
  11. 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。

身体拘束の必要性

上記の身体拘束の具体例のほとんどは、利用者の転倒事故や転落事故のような安全確保を目的としてなされています。

しかし、身体拘束は、安全確保のために本当に必要でしょうか。例えば、上記(3)のような身体拘束を行った結果、かえって利用者が無理に、ベッド柵を乗り越えようとして、転落することもあります。

身体拘束をする理由(転倒事故・転落事故、徘徊、点滴を外す等)を取り除いたり、事故の被害を小さくしたりする方法は、身体拘束以外にあるのが通常です。

例えば、ベッドからの転落事故を防止するために、ベッドを低くすることや、夜間徘徊については、適度な運動によって、昼夜逆転の生活リズムを改善することが考えられます。

手引きを参考に、各施設の職員全員が身体拘束に頼らない介護の実現のために努力する必要があります。

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