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成年後見制度の利用2(医療行為の同意)

1.成年後見人の医療行為の同意

本人(成年被後見人)に、手術など身体を傷つける行為を行う必要がある場合、成年後見人は、医療機関側が求めてくる医療行為への同意をできるか(どう対処すればよいか)という問題が存在します。

法的な結論は明確で、成年後見人には、そのような同意権はありません。成年後見人は、入院するにあたって必要な病院との契約など(医療契約)の代理権は有しますが、身体を傷つける行為についての同意権はありません。

しかし、医療機関側は、リスクヘッジのため、成年後見人に同意を求めてくることがあります。医療機関側も、軽々にご本人のお体を傷つけることはできませんから、事情は十分に理解できます。ほかに身寄りがあればその人に求めればよいですが、身寄りがなく、成年後見人以外に同意を求めることができない場合には、成年後見人に対して同意を求めるというわけです。

では、成年後見人は、同意書にサインをしていいのでしょうか。対応は、ケースと成年後見人のスタンスにもよると思います。しかし、前提として、法律上、成年後見人に、そのような「権限」はありません。

したがって、そのような同意をしても、法律上は意味がないことになります。その旨を医療機関側に丁寧に説明した上で、手術をしてもらうことになると思います。どうしてもと言われた場合、成年後見人が同意しても法的に意味はなく、気休めにしかならない(責任はとれないしとる必要もない)けれども、それでもいいならサインしますよ、という形でサインをする成年後見人もいるようです。

患者本人に同意する能力がない場合には、患者以外の第三者が何らかの形で医療行為実施の最終意思決定を行わない限り、患者本人は医療行為を受けられません。また、医師には治療の義務がありますので、患者を放置するわけにはいきません。医師の心配を取り除き、スムーズに手術を行ってもらうためには、あり得る対応だと思います。

2.身体侵襲行為に対する同意が持つ意味

医療機関が同意を求める理由とは

前項でご説明したとおり、成年後見人には法的な身体侵襲行為についての同意権はありません。では、なぜ医療機関は法的な意味がないという説明を受けたとしても成年後見人に同意を求めることがあるのでしょうか。そもそも、患者の生命・健康を守るための医療行為としての身体侵襲行為(手術等)について同意を求める必要があるのでしょうか。

手術の刑法的評価

例えば、医師ではないAがBの腹部をナイフで刺した場合、殺人(未遂)、傷害(致死)など、刑法上の罪に問われることはお分かりになると思います。もし、罪にならないとしたら、先にBがAを刀で切り付けてきたので、身を守るためにBを刺したというような正当防衛(刑法36条)が認められる場合に限ります。

では、医師であるAが腹膜炎の手術のためにメスでBの腹部を切り裂いた場合、殺人(未遂)等の罪に問われないことは、直感的にお分かりになると思います。

なぜ、同じ腹部に刃物を刺すという行為が異なる評価を受けるのかと言えば、医師による手術は正当業務行為(刑法35条)であり、原則として違法ではないからです。

同意の必要性

では、全ての手術が正当業務行為として全く罪に問われないのでしょうか。

そうではありません。例えば、手術中のミスによって患者を死なせてしまった場合は、業務上過失致死罪(刑法211条)に問われます。

また、手法が確立している一般的な手術法ではなく、新しい手術法を採用した結果、予期していなかった後遺症が発生した場合、正当業務行為とは認められない可能性があります。

このように、手術を行う医療機関にしてみれば、常に手術によって法的責任を問われるリスクがあります。

そのため、手術の前に、どのような手術を行うか、予想される後遺症などを説明した上で、同意書にサインを求めることによって、本人の意思に沿った手術であることを示すのです。

その結果、同意書の範囲内で発生した問題については、本人の同意があるから違法ではない(刑法上、「被害者の承諾」といいます。)と主張することができます。

このように、同意書にサインする前に、医療機関から手術内容についての説明を受ける機会が増えたことは、患者によっても利益になっていると言えるでしょう。

3.予防接種について

ところで、この問題の一環として、しばしば問題になるのは、予防接種の問題です。予防接種も身体的侵襲を伴う医療行為ですので、やはり成年後見人には同意権はないと考えられます。

しかし、予防接種法に以下のような規定があるので、成年後見人に同意権があるという解釈をする方もいるようです。

「市町村長又は都道府県知事は、前項の対象者が16歳未満の者又は成年被後見人であるときは、その保護者に対し、その者に定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けさせることを勧奨するものとする。」(予防接種法8条2項)

「対象者が…成人被後見人であるときは、その保護者(成年後見人)に対し、…予防接種を受けさせることを勧奨する」とあることから、同意権を導くことができるという見解でありますが、この点は、単に「勧奨する」という規定から、同意権を導くことは難しいと考えられます。

しかし、成年後見人は、本人に対し、少なくとも、予防接種を受けるよう働きかける必要があるのではないかとも考えています。

これらの問題は、成年被後見人の生命にもかかわる重大な問題ですから、今後一層、議論が深まっていくことを期待されます。

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