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施設利用契約の注意点2(認知症の場合)

1.認知症が疑われる高齢者との契約の注意点

契約の申込みをしてきた高齢者に認知症の疑いがある場合、そのまま契約してしまっても大丈夫なのか、という悩みは、高齢者福祉サービス事業者にとっては決して珍しいものではありません。
そこで、認知症の疑いがある高齢者との契約は有効か否か、認知症の高齢者と高齢者福祉サービス利用契約を締結するためにはどのような手続が必要かを以下ご説明いたします。

2.契約に必要な能力

契約に必要な2つの能力

契約は、サービスの提供を申し込む者(高齢者)とその申込みを承諾する者(事業者)との意思の合致によって成立しますが、法律上、契約を有効に締結する能力として、意思能力と行為能力という2つの能力が求められます。

意思能力

意思能力は、自己の行為の結果を判断しうる精神的能力とされ、意思能力を欠く人(意思無能力者)の意思表示は当然に無効とされます(法律上規定はありませんが、そのように解釈されています)。

契約など財産的な行為について、意思能力は、7歳~10歳程度の判断能力が基準となるといわれることもあります。ただ、スーパーで食品を購入する場合と、元本割れのリスクがある金融商品を購入する場合に必要な判断能力が全く異なることからも分かるように、契約内容の複雑さなどによって、必要とされる意思能力の程度は変わります。

裁判上、意思能力の有無が争われた事例では、行為の複雑さのほか、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニ・メンタルステート検査(MMSE)の結果、これらをもとにした医師の診断、日常生活を送る上で支障はなかったか、契約の内容が高齢者に不利益を及ぼすものかなど、様々な観点から、その存否が判断されています。

行為能力

行為能力とは、単独で確定的に有効な契約をするために必要な能力です。行為能力を制限された人(制限行為能力者)が行った契約は、取り消すことができます。

未成年者、成年被後見人、成年被後見人、被保佐人及び被補助人が制限行為能力者にあたります。行為能力は、意思能力と異なり、法律が一定の類型にある人について、能力を制限するものといえます。

制度上、制限行為能力者については、その能力を補う者(成年後見人、保佐人、補助人等)が定められています。制限行為能力者との契約において、後に契約を取り消されないようにするためには、高齢者が成年被後見人であれば成年後見人と契約をする、高齢者が被保佐人であれば保佐人と契約をするか保佐人から同意を受けていることを確認するなど、制限行為能力者の種類によって、対処方法も異なってきます。

3.高齢者が成年後見開始等の審判を受けている場合

成年後見が開始され、高齢者本人の行為能力が制限されている場合には、成年後見人が高齢者本人の法定代理人として財産管理を行うことになりますので、契約を締結する際には、成年後見人と契約することになります。

なお、成年後見制度の「自己決定を尊重する」という趣旨から、成年後見人は入退所に関する「判断」については高齢者本人の同意がない限り行うことはできませんし、強制することもできません。

保佐や補助開始の審判を受けている場合、締結する契約についての行為能力が制限されているかどうかは事案により異なります。保佐人や補助人が代理権を有しておらず、同意権のみを有している場合には、契約は保佐人ではなく、高齢者本人と締結し、保佐人や補助人の同意を得ることになりますから、どの範囲で高齢者本人の能力が制限されているか、どの範囲で代理権が授与されているか確認することが必要です。

いかに高齢者本人の判断能力がしっかりしているように見えても、これらの制度によって高齢者本人の能力が制限されている場合には、契約が事後的に取り消されることがありますから、注意が必要です。
高齢者本人が後見開始等の審判を受けているかどうかは、成年後見に関する登記事項証明書で確認できますので、この証明書を高齢者本人や家族に法務局から取り寄せた上で提出してもらう必要があります。

4.高齢者が成年後見開始等の審判を受けていない場合

意思能力の判断

高齢者本人が成年後見開始の審判を受けていない場合には、高齢者本人と契約を締結するしかなく、高齢者本人の意思能力の有無が問題になります。

前記のとおり、意思能力の有無は形式的に決まるのではなく、後に争いが生じた場合には、諸事情が勘案されて判断されることになります。医師の意見や、締結する契約が本人にとって必要なものか、合理的なものかという観点等が判断要素になります。

意思能力がない場合

高齢者本人に意思能力がない場合、高齢者福祉サービス利用契約を締結するためには、高齢者本人について成年後見開始の審判の申立てを行い、選任された成年後見人との間で契約を締結する必要があります。

なお、第三者(高齢者本人)のために家族が契約(第三者のためにする契約)するのだという構成が考えられないかという議論もあるようですが、この方法も、契約の効力を発生させるためには、第三者(高齢者本人)による受益の意思表示(その契約を受け入れる意思表示のことです)が必要である(民法537条2項)ことから、第三者のためにする契約という構成には無理があると考えられます。

意思能力の存在が疑わしい場合の対応

高齢者本人に意思能力があるか疑わしく、成年後見人等の法定代理人もいない場合には、上記のように、本人の意思能力について慎重に検討する必要があります。

家族の代筆欄の意味

高齢者福祉サービス事業所によっては、契約書に家族の代筆欄を設けている場合がありますが、前記のとおり、高齢者本人に意思能力がない場合には、家族に代筆してもらっても契約が有効に成立することはなく、意味がありません。家族の代筆は、高齢者本人には意思能力があるが、身体の傷害などで字を書くことができない場合に行うべきものです。

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