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介護事故7(親族による虐待)

1.親族による虐待への対応

居宅サービス事業者から派遣されたホームヘルパーが担当しているある要介護者(Aさん)は、同じ敷地内の別の建物で息子さん一家と暮らしています。Aさんと息子さんとの間には、過去に様々な問題があったので、親子間の関係がこじれ、ほとんど行き来はない状態です。
そんな中、Aさんは、時々夜中に息子がやってきて、聞くに堪えない暴言をAさんに吐くと言います。ヘルパーがその現場を見ているわけではないのですが、Aさんが日に日にやせ細っていくことは見てわかる状態です。

このような状況で、ヘルパーや事業者として何かできること、すべきことはあるのでしょうか。

息子さんの要介護者に対する行為は心理的な「虐待行為」といえます。

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)では、「養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者」に対し、市町村等に対する通報義務(又は通報の努力義務)を定めています。

息子さんが要介護者を経済的に扶養しているような場合には、息子さんは要介護者の「養護者」に該当します。

したがって、仮にヘルパー自身が虐待行為自体を見ていないとしても、要介護者がやせ細っていくなどの事実により「高齢者虐待を受けたと思われる」場合には、市町村又は市町村の委託先の地域包括支援センターなどに通報すべきです。

高齢者虐待防止法に基づく通報の場合には、仮に誤報であったとしても何ら責任を問われません。また、通報したことをもって守秘義務違反とされることもありません。心理的な虐待がエスカレートして身体的虐待に発展するおそれもあります。早めに通報すべきです。

これに対し、息子さんが要介護者を日常生活においても、経済的にも援助等をしていない場合には、高齢者虐待防止法の「養護者」とはいえません。したがって、通報の義務等はありませんが、この場合でも市町村に相談し、事態の打開に努めるべきです。

2.高齢者虐待防止ネットワーク

市町村は、虐待を受けた高齢者の保護や養護者支援を適切に実施していくため、老人介護支援センターや地域包括支援センター、その他関係機関との連携協力体制を整備し、養護者による高齢者虐待にいつでも迅速に対応することができるよう、特に配慮しなければならない義務を負っています(高齢者虐待防止法16条)。

ここにいう地域包括支援センターとは、介護保険法の規定により市町村が設置する、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定に必要な援助を行う機関で、その業務の一つとして高齢者虐待防止ネットワークの構築が定められています(介護保険法115条の46第1項、115条の45第1号)。

このネットワークには、

  1. 民生委員、地域住民、社会福祉協議会等により構成される「早期発見・見守りネットワーク」
  2. 居宅介護支援事業所、介護サービス事業者、医療機関等により構成される「保険・医療・福祉サービス介入ネットワーク」
  3. 医療機関、警察や消防署、弁護士、権利擁護団体、保健所から構成される「関係専門機関介入支援ネットワーク」
の3種類が挙げられます。

高齢者福祉サービス事業者は(2)「保健・医療・福祉サービス介入ネットワーク」の構成員となり、高齢者虐待防止ネットワークを構成する「高齢者虐待対応協力者」に位置付けられます。また、介護施設従事者に関しては、高齢者虐待防止法において、高齢者の虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めるようにとの特別な努力義務が課されています(高齢者虐待防止法5条第1項)

3.高齢者虐待防止法以外での対処法

例えば、高齢の妻が高齢の夫から「虐待」を受けているという場合には、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)を適用することもできます。

さらに、虐待が暴言にとどまらず、暴力行為等にまで発展してしまった場合や、こっそり高齢者のお金を盗んだり、預かっていたお金を使ってしまったりした場合など、養護者が高齢者を介護しようとしない場合には、それぞれ、暴行罪・傷害罪、窃盗罪・横領罪、保護責任者遺棄罪に該当し得ます。

したがって、刑事手続を利用して、虐待をする者の身柄拘束により、高齢者の安全を図ることも方法としては考えられます(ただし、家族関係に亀裂を入れる結果となりかねませんし、家庭内での事件であるという点で警察も及び腰になることもあります。さらに親族間の犯罪ということで刑が免除される場合もあります(刑法244条1項など)ので、現実的には難しい対応といえるでしょう)。

経済的虐待などの場合には、本人に判断能力があったり、判断能力の減退の程度が限定的である場合には、本人が弁護士等と財産管理等委任契約を締結し、専門家に財産の管理を任せたり、社会福祉協議会などが実施している日常生活支援事業を利用して金銭管理の支援を受けたりすることにより、財産を保全することが考えられます。

しかし、本人に判断能力がない、あるいは著しく減退している場合には、成年後見制度を利用し、成年後見人に財産を管理させることにより財産の保全を図ることを検討することになります。後見開始の申立てに協力する親族がいない場合には、市町村長が成年後見の申立てを行うことが可能です。

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