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高齢者施設の人事労務5(メンタルケア)

1.従業員のメンタルヘルスへの配慮

施設の職員がストレスなどの影響によって精神的不調に陥り、休職や退職、最悪の場合は自殺に至ることがあります。

そのような場合の労災認定の有無及び事業者の損害賠償責任と、メンタルヘルスに関する現状についてご説明いたします。

メンタルヘルスに関する現状と労働安全衛生法の改正

市場競争の激化と雇用の不安定化、人事管理の厳格化などの社会情勢の変化のもと、職場でのストレスにより精神面での不調に陥る労働者が大幅に増加しています。

そこで、厚生労働省は、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(以下「手引き」といいます。)を平成16年10月14日に発表し、平成21年3月23日に手引きの改訂版を発表しました。

また、労働者の健康管理の一環として、労働安全衛生法にメンタルヘルス対策が盛り込まれることになり、労働安全衛生法の一部を改正する法律が、平成27年12月1日から施行されています。

この改正労働安全衛生法により、

  1. 事業者は常時使用する労働者に対し、医師または保健師による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施すること(ただし、労働者数50人未満の事業所については、努力義務にとどまります)
  2. 検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施すること
  3. 面接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じて作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の就業上の措置を講じること
が義務付けられました。なお、検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に検査結果を提供することは禁止されます。また、医師による面接指導の申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されています(労働安全衛生法66条の10第1項~6項)。

2.精神障害の労災認定

精神障害が原因と考えられる労災の認定基準について、平成23年12月に厚生労働省から、「心身的負荷による精神障害の労災認定基準」が作成・公表されています。

認定基準の対象となる精神障害を発病していること

「ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン」に基づいて、主治医の診断書や診療内容、関係者からの聴取内容などから判断されます。

うつ病・統合失調症・急性ストレス障害など、職場で発生しやすい精神障害は、当然上記に含まれます。

認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

業務による心理的負荷を「強」「中」「弱」の三段階に分類し、「強」と認められる場合、労災として認定されます。それぞれの具体例は以下のとおりです。

「強」
「中」
複数の原因がある場合

複数の原因がある場合は、「中」+「中」=「強」または「中」など、出来事の内容や数を総合的に判断して強度が判定されます。

*長時間労働があった場合

上記のとおり、発病直前の3か月間連続して1か月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合は、心理的負荷は「強」となり、労災と認定されますが、産業医面談の努力義務である「80時間以上の労働時間が3か月以上継続している」状況も、労災認定を受ける可能性が高くなります。

*従業員が自殺した場合

業務による負荷が原因で自殺に至った場合は、原則的に、労災として認められます。

業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

業務以外の要因(家庭内の問題等)については、「業務以外の心理負荷評価表」を用いてⅠ~Ⅲまでの3段階に分類し、発症と関連しているか判断します。

3.事業者の損害賠償責任と労災認定の関係

事業者の損害賠償責任

事業者には、雇用契約の付随義務としての安全配慮義務の内容として、職場の環境配慮義務、すなわち職員が適切な環境の中で職務に従事できるように職場環境を整えるべき義務が認められています。

したがって、施設の職員が、同僚や上司、利用者やその親族からパワハラやセクハラ又は威圧的な態度を取られている場合、その対応を職員に任せきりにしてはならず、事業者として適切な対応をとる必要があります。

そして、対応を怠った結果、従業員が精神障害を発症した場合には、安全配慮義務違反として、その損害を賠償する義務が生じることになります。

労災認定と損害賠償義務

労災手続と安全配慮義務に基づく損害賠償請求とは、制度の趣旨、目的は異なります。

しかし、実際上は、労災手続において業務起因性が認められると、民事の損害賠償事件においても精神障害と安全配慮義務違反の因果関係が否定されることは少ないといわれています。すなわち、労災が認められた場合、事業者の損害賠償責任も肯定されるリスクが高くなります。

この場合、事業者としては、

  1. 労災では認められない慰謝料
  2. 労災で給付される傷害一時金等と逸失利益との差額
  3. 労災で給付される休業損害の不足分等の支払を命じられる
ことになり、精神障害の程度によっては多額の損害賠償が認められる可能性があります。

そこで、事前対策としては、従業員に対してメンタルヘルスを把握するための検査を行うなど、精神障害の発症を防ぐ処置も必要となってきています。また不調を訴える従業員がいる場合、医師の意見に基づいて、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、夜勤の回数減少等の従業員の負担軽減のための処置を講じることが求められます。

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