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1.物件の引渡し

竣工と検査・引渡し

工事が完成することを、建設業では「竣工」と呼びます。法律的には、工事物件の竣工・引渡しにより、建設業者の請負責任は消滅することになります。もっとも、工事の目的物に、施工を原因とする瑕疵があった場合には、発注者から瑕疵修補請求、または、損害賠償請求を受ける可能性があります(瑕疵担保責任)。

竣工後の流れ

竣工すると、まず建設業者自身による社内検査が行われます。通常、社内検査は当該工事の施工担当者以外の検査員によって行われ、社内検査報告書が作成されます。発注者が官公庁の場合には、発注者による竣工検査前に社内検査報告書の提出を求められることがあります。

社内検査が終了すると、次に発注者による竣工検査、行政や消防検査等の検査と諸官庁への各種届出等を経て物件の引渡しが行われます。物件の引渡しに際して竣工式や落成式が執り行われることもあります。

工事引渡書類

物件の引渡し時に、発注者と請負人との間で、工事引渡書(工事竣工届、工事完了報告書等)や物件受領書(工事引受書、工事目的物受領書等)が取り交わされます。

多くの建設業者では、この工事引渡書を発行するためには、社内における重層的な承認が必要とされています。これは工事引渡書が、建築業者が請負人としての債務を履行したことを発注者に対して主張するための正式な書面であるため、不備がないよう多重チェックが求められるからです。

なお、建設業者が請負人として工事を完成させたことを証明する最も客観的な書類は、発注者が請負人に対して提出する物件受領書になります。しかし、発注者の事情等により物件受領書が発行されないケースもあります。このような場合には、工事引渡書は工事が完成したことを証明する書類として、一層重要になります。

物件の引渡しの効果

物件の引渡しによって請負人としての仕事の完成義務を履行したことになるので、民法上、この時点で初めて報酬請求が可能となります(民法633条)。もっとも、報酬の支払について特約で変更がなされていることが一般的です。

また、後述する瑕疵担保責任の存続期間も引渡時からとなります。

2.仕事の完成と瑕疵担保責任の関係

仕事の完成

「仕事の完成」とは、発注者の検査に合格しうる程度に仕事が完成したことをいいますが、検査に合格したこと必ずしも必要ではありません。裁判例では、客観的に見て、工事の最終工程を終えたと見られる程度に仕事が行われていれば足りると解されています。

したがって、わずかに手直しを要する部分を残していたとしても、「仕事の完成」が認められないというものではありません。

「仕事の完成」が認められるか否かが問題とされた裁判例には、以下のようなものがあります。

・大阪地裁昭和49年6月6日判決は、施工したホテルが西側に約20センチメートル傾斜し、かつ数か所に雨漏りがあるという事案について、建築工事は予定された最後の工程まで完了して一応完成して発注者に引き渡したものであって、工事に瑕疵はあるが、発注者が主張するように工事が未完成又は工事に債務不履行であるとはいえないことは明らかであると判示し、仕事の完成を認めました。

・東京高裁昭和47年5月29日判決は、立体駐車場の建築請負契約について、そのうちのエレベーター設備が不十分で、引渡しの当初は、エレベーターが上下動するのみで、自動車を載せることができず、上下動さえも、全部又は一部が時折停止し、その他しばしば機械設備の各所に故障が生じたという事案について、仕事の完成を認めました。

以上のとおり、建設工事が完了し、仕事が完成したか否かと、その工事に瑕疵があるか否かとは、別個の問題と考えられています。そして、工事に瑕疵があった場合には、瑕疵担保責任の問題として解決されることになります。

したがって、上記の2つの裁判例の事案においても、仕事の完成は認められているものの、瑕疵担保責任の追及は別途可能性を検討する余地があります。

3.瑕疵担保責任

建設業者は、適正な施工を行い、品質の確保された物件を完成させ、引き渡す責任があります。しかしながら、引渡後においても、発注者に対して一定期間、瑕疵担保責任を負うことになります。

瑕疵担保責任は、民法や公共工事標準請負契約約款、品確法に定めがあり、瑕疵担保責任期間は、工事請負契約書に記載されています。

瑕疵担保責任の種類

民法上、瑕疵担保責任の内容として、注文者の瑕疵修補請求権(民法634条1項)、注文者の損害賠償請求権(同法634条2項)、注文者の契約解除権(同法635条1項)の3種類があります。
ただし、建物その他の土地の工作物については、契約の解除はできません。もっとも、最高裁判所平成14年1月23日判決は、建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することを認めており、結論的には契約を解除した場合と同様の効果を得ることができます。

民法に規定による瑕疵担保責任期間は、目的物が建物等の土地の工作物である場合には、工作物の種類により5年または10年とされています。ただし、この期間は契約により短縮することが可能です(詳細は「建設業界における不祥事③(建物の瑕疵)」をご参照ください)。

公共工事の場合、公共工事標準請負契約約款において、建設工事によって1年か2年、請負者の故意・重過失による瑕疵については10年と記載されています。

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