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建設業で知っておきたい、建設業の取引トラブル


1.JVとは

JV(ジョイントベンチャー)とは

JVは、複数の建設業者で1つの建設工事を受注して施工することを目的として結成する事業組織体です。

JV誕生の背景

工事の大型化、技術難易度が高まるに伴い、1社単独で受注して施工するのではなく、各社の技術力を結集しつつ施工に伴う様々なリスクを各社で分散すること、中小建設業者の経営力や施工能力を向上させて建設業界全体の底上げを図ること、JVに参加している各社の得意技術を結成し、工事の適正かつ円滑な施工の確保を目指すことなどが必要になってきました。そのための手段として、1つの工事を複数の建設業者で共同受注して施工を行うJVが誕生しました。

JVの問題点

上記のようなメリット反面、JVには以下のようなデメリットも存在します。

このような問題点に対応するために、建設業者間の適正な競争を通じた建設業の健全な発展を阻害しないよう、1社への発注を基本として、技術力の結集等により効果的施工が確保できると認められる適正な範囲にとどめるものとされています(国土交通省中建審第1号)。

JVの方式

JVは施工内容による活用目的別に「特定JV」「経常JV」「地域維持型JV」の3方式があります。

特定建設工事共同企業体(特定JV)

大規模かつ技術難度の高い工事の施工に際して、技術力等を結集することにより工事の安定的施工を確保する場合等工事の規模・性格等に照らし、共同企業体による施工が必要と認められる場合に工事毎に結成する共同企業体。

経常建設共同企業体(経常JV)

中小・中堅建設企業が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工能力を強化する目的で結成する共同企業体。

地域維持型建設共同企業体(地域維持型JV)

地域の維持管理に不可欠な事業につき、継続的な協業関係を確保することによりその実施体制の安定確保を図る目的で結成する共同企業体。

2.JVの法的性格

JVの概要は上記のとおりですが、JVとの取引において、JVが債務不履行をした場合、誰に対して損害賠償を請求できるのでしょうか。それを明らかにするためには、JVの法的性格、つまり法律上どのように取り扱われているのかを理解する必要があります。

JVの形態

JVは、その施工方式から、共同施行方式と分担施行方式に分けられます。

共同施工方式とは、1つの工事について、あらかじめ各構成員企業の出資割合を取り決め、出資割合に応じて資金、人員、機材などを拠出して施工を行う方式をいいます。共同施工方式の場合、出資割合に応じた損益項目が、各社の決算に取り込まれることになります。

分担施工方式とは、1つの工事について、複数の工区に分割し、各構成員がそれぞれ分担する工区を、責任をもって施工する方式を言います。

JVの法的性質

法律上は、共同施行方式と分担施行方式のいずれのJVも「民法上の組合」とされています(最高裁判所昭和45年11月11日判決参照)。

「民法上の組合」とは、「各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって」成立する団体であり(民法667条1項)、契約関係のみによって構成員が結合し、株式会社のような法人格はありません。
したがって、JVとして行った法律行為の権利義務は、JVを構成している各企業に帰属することになります。

JVの法的責任

JVとの取引によって生じた損害賠償責任は、JVとしての工事に関して生じたものである限り、JVとして責任を負わなければなりません。

ただし、上記のとおり、JVが法人格を有していない以上、実質的に責任を負うのはJVそのものではなく、JVの構成員である各企業ということになります。

さらに、JVの各構成員(各企業)が負担する責任については、不真正連帯債務として各構成員(各企業)が全額を負担するとした裁判例があります(鹿児島地方裁判所昭和48年6月28日判決)。
したがって、JVとの取引で生じた損害賠償請求権はJVの構成員である各企業に対して行使することができます。

JVのリスク

JVに参加する際には、上記のようなリスクがあることを念頭に、構成員となる企業を慎重に選ぶ必要があると言えるでしょう。

3.JVの業務プロセス

共同企業体協定書の締結

JVにより工事を受注する場合は、JV構成員との間で共同企業体協定書が締結されます。共同企業体協定書には、JVの目的、JVの名称、事務所の所在地、代表者の名称、構成員の出資の割合(共同施工方式の場合)又は分担施工額(分担施工方式の場合)等が記載されます。共同企業体標準協定書は国土交通省のウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000101.html)にも掲載されています。

JV運営委員会の設立

JVの運営は、JVの最高意思決定機関である運営委員会によって行われます。運営委員会はJVの構成員全員をもって設立され、組織及び編成並びに工事の施工の基本方針に関する事項、資金管理方法、下請業者の決定等のJV運営に関する基本的かつ重要な事項が協議の上、決定されます。

なお、施工の難易度が特に高い工事では、運営委員会内に施工委員会が設立されることがあります。施工委員会では、主に施工上の問題点や課題等について協議が行われます。

JVにおける資金管理

発注者からの取下金の受領や工事原価の支払は基本的にスポンサー企業が行います。

スポンサー企業とは、JV内で中心的な役割を担う幹事企業のことをいいます。スポンサー企業は、工事発注者との交渉、資金管理、構成員の取りまとめ、予算作成などの事務手続を行い、円滑な共同施工を確保する責任があります。

また、スポンサー企業以外の構成員は、「サブ企業」と呼ばれることもあります。
スポンサー企業がサブ企業に必要資金の請求を行う場合(出資請求)、逆にサブ企業に対して発注者から受領した取下金を分配する(取下分配)場合には、スポンサー企業とサブ企業の間で資金の移動が行われます。

このようなJV構成員間の資金の精算方法としては、以下のような方法があります。

分配方式

月次でスポンサー企業からサブ企業に対して、発生した工事原価について出資割合に応じた出資金を請求し、発注者から取下金を受領する都度、サブ企業に対して出資割合に応じた取下金の分配を行う方法です。

プール方式

工事に必要な資金をスポンサー企業が立て替える一方で、取下金の分配を行わずにJV資金としてプールし、竣工後にまとめて精算する方法です。プール方式にはサブ企業の倒産等により出資金が回収されないリスクの低減、スポンサー企業による自己資金負担の軽減などのメリットがあります。

折衷方式

プール方式を採用している場合、発注者からの取下げが工程の後半に偏る場合には、スポンサー企業はサブ企業の出資金の立替えが大きくなるため資金負担を強いられます。これを回避するために、出資金が取下分配金を超えてしまった場合は出資請求を行うという、プール方式と分配方式の折衷方式です。

以下、詳細ページのご案内です。
  1. 建設業とは
  2. 建設業界における不祥事①(談合・カルテル)
  3. 建設業界における不祥事②(脱税・粉飾決算)
  4. 建設業界における不祥事③(建物の瑕疵)
  5. 建設業界における不祥事④(反社との関係)
  6. 建設業界における不祥事⑤(下請法違反)
  7. 建設業界における不祥事⑥(産廃・公害対策)
  8. 建設業界における不祥事⑦(労災)
  9. 建設業界における不祥事⑧(労働問題)
  10. 建設業界における不祥事⑨(建設業法違反)
  11. 建設業界における不祥事⑩(労働安全衛生法違反)
  12. 建設業界における不祥事⑪(偽装請負)
  13. 建設業界における不祥事⑫(パワハラ)
  14. 建設業界における不祥事⑬(上請行為)
  15. 建設業界における不祥事⑭(労働安全衛生法違反)
  16. 取引上の問題①(JV)
  17. 取引上の問題②(開発事業)
  18. 取引上の問題③(工事原価と支払)
  19. 取引上の問題④(代金の取下げ)
  20. 取引上の問題⑤(物件の引渡し)
  21. 取引上の問題⑥(請負契約と下請契約)
  22. 取引上の問題⑦(契約書作成上の問題点)
  23. 取引上の問題⑧(工事代金の回収① 法的問題)
  24. 取引上の問題⑨(工事代金の回収② 仮差押え)
  25. 取引上の問題⑩(工事代金の回収③ 建築関係訴訟)
  26. 取引上の問題⑪(工事代金の回収④ 債権に対する強制執行)
  27. 取引上の問題⑫(少額訴訟と支払督促)
  28. 取引上の問題⑬(建築工事紛争審査会)
  29. 取引上の問題⑭(元請会社の破産)
  30. 取引上の問題⑮(建設業法遵守ガイドライン①)
  31. 取引上の問題⑯(建設業法遵守ガイドライン②)
  32. 建設業の担い手と法律問題①(ゼネコン)
  33. 建設業の担い手と法律問題②(道路会社)
  34. 建設業の担い手と法律問題③(ハウスメーカー)
  35. 建設業の担い手と法律問題④(橋梁メーカー)
  36. 建設業の担い手と法律問題⑤(設計事務所)
  37. 建設業の担い手と法律問題⑥(下請け業者)
  38. 建設業の担い手と法律問題⑦(労働者
  39. 建設業の担い手と法律問題⑧(技術者制度
  40. 建設業の担い手と法律問題⑨(外国人労働者
  41. 建設業の担い手と法律問題⑩(女性労働者
  42. 建設業の担い手と法律問題⑪(中高年労働者
  43. 建設業の担い手と法律問題⑫(建設現場のメンタルヘルス
  44. 建設業の担い手と法律問題⑬(労働者の解雇
  45. 建設業の担い手と法律問題⑭(リスクアセスメント
  46. 建設業の担い手と法律問題⑮(安全衛生教育
  47. 建設業の担い手と法律問題⑯(労働災害等が発生した場合の対応
  48. 建設業の担い手と法律問題⑰(就業規則
  49. 建設業の担い手と法律問題⑱(建設廃棄物の処理
  50. 建設業の担い手と法律問題⑲(安全配慮義務
  51. 建設業の担い手と法律問題⑳(建設業における元方事業者の義務

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