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1.耐震偽装

構造計算書偽装事件

平成17年11月、設計士が、売上を伸ばすために、鉄筋量を減らすことによるコスト削減などを目的として耐震偽装を行ったという、構造計算書偽装事件が発覚しました。

この事件をきっかけとして、建物の安全性を算定した構造計算書が偽装され、建築基準法で定められている耐震基準を満たさないマンション等が建設・販売されているという事実が判明し、社会問題となりました。

なお、設計士は、平成17年12月8日、国土交通省により建築士資格を取り消された上

の4つの罪で起訴され、平成18年12月26日、東京地方裁判所は懲役5年、罰金180万円の実刑判決を言い渡しました。設計士は判決を不服として東京高裁に控訴しましたが、二審も地裁の判決を支持し、平成20年2月21日に最高裁が上告を棄却したことにより、判決が確定しました。

地震多発国である日本においては、耐震偽装という行為に対して、法的にも社会的にも厳しい判断がくだされることになります。
しかし、耐震性に欠陥のあるマンションは、この設計士が関与した物件だけに止まりませんでした。

2.耐震偽装

地盤調査の不正

平成19年11月に完成した、横浜市内の地上12階建、705戸4棟からなる分譲マンションにおいて、複数の住民から「(棟をつなぐ部分の)手すりがずれている」との指摘がありました。

この指摘を受け、販売業者と施行会社が平成27年8月に調査したところ、4棟のうちの1棟が傾いていたことが判明しました。傾いた棟にある計52本の杭のうち28本を販売業者が調べたところ、地盤の強固な支持層に達していない杭が6本あり、長さ不足の杭が2本あり、地盤調査を行ったように装う虚偽データが作られていました。
なお、その後の調査によって、さらに45本の杭の強度偽装も発覚しています。

この件について国土交通省は、単純な施工ミスでなく、虚偽データが使われた事態を重くみて、平成27年10月14日までに他の物件の調査を施工会社に指示しました。横浜市長は、同28日に構造計算の評価に関しての支援を国土交通省に緊急要請し、杭打ち工事を担当した建設業者について、建設業法違反の疑いで同年11月2日から国土交通省が立ち入り検査を行いました。

全棟建て替えに必要な住民の五分の四の合意を目指し、平成27年11月に管理組合がアンケートを行った結果、住民の約7割が「全棟建て替え」を希望しました。その後、平成28年2月2の管理組合の総会で全棟を建て替える方針が承認されました。

販売業者は解体・建て替え関連で約300億円、住民の仮住まい等の補償で約100億円の費用を支払うことになりました。

このような不正が行われた原因についてですが、平成27年12月の国土交通省の有識者会議の中間とりまとめ報告書は、元請けによる総合的な企画調整の欠如、下請け主任技術者・工事管理者などの体制の問題、元請けと施工会社との間での齟齬などを指摘しています。

杭打ち工事を担当した建設業者の外部調査委員会は、平成28年1月の中間報告において、同社内でのデータ軽視の姿勢をデータ流用の一因として指摘しました。同社社内の調査委員会は平成28年2月の中間報告で、別件でのデータ流用問題がこのマンション以前に3件報告されていたにも関わらず、対策を怠っていたことを認めました。

上記の販売会社の負担する費用の大きさから考えて、耐震偽装は最も防ぐべき不祥事と言えるでしょう。

3.建物の瑕疵に対する責任

上記の耐震性を始めとして、建物に瑕疵がある場合は、民法の瑕疵担保責任の規定に従って判断されることになります。したがって、原則として売主や施工会社が損害賠償金の支払や補修等を行います。

しかし、その保証範囲などは、購入物件や売買契約の内容により異なります。今回は、新築住宅のケースについて、平成12年4月施行の「住宅の品質確保促進法」(以下、「品確法」といいます。)に基づいて説明いたします。

品確法とは

(1)品確法は、後述するような民法の瑕疵担保責任の特則を設けています。しかし、その対象となるのは、建物の全ての瑕疵ではなく、「構造耐力上主要な部分および雨水の侵入を阻止する部分」、言い換えると、「その部分に不具合があると建物の強度が弱くなってしまうと考えられる部分」と、「防水をしないと雨水が侵入してしまう部分」の瑕疵に限られます。

(2)瑕疵担保責任の対象は「隠れた」瑕疵であるため、物件の引渡し時に発覚していた瑕疵については対象となりません。「隠れた」瑕疵とは、通常の人が、通常の注意をしても発見できないような瑕疵のことをいいます。

品確法による瑕疵担保責任期間の延長

民法では、売主の瑕疵担保責任の期間を「買主が瑕疵を見つけた時から1年間」と定めています。この場合、買主は長期間にわたり保護されますが、逆に売主や施工会社にしてみれば、経年劣化に伴う不具合についても補償を求められるリスクがあります。そこで宅建業法では、民法上の瑕疵担保責任期間を修正し、売主が宅建業者の場合には「物件引き渡しの時から2年以上」という特約を付けることが許されています。

しかし実際には、基本構造部分の瑕疵は2年間ではなかなか発見できない場合も多いことから、品確法では、瑕疵担保責任の範囲と合わせて、瑕疵担保期間も規定しました。具体的には、売主や施工会社は、新築住宅について、「物件の引き渡し日から10年間」、瑕疵担保責任を負うものと定めました。

住宅瑕疵担保履行法

瑕疵担保期間中に、売主や施工会社が倒産するなどした場合、そのような会社に対して瑕疵担保責任を追及したとしても、回収できる可能性は低くなります。

しかし、それでは買主の保護が不十分になります。そこで、上記の耐震偽装事件をきっかけに作られた法律が、平成21年10月施行の「住宅瑕疵担保履行法」です。
これは、住宅事業者に住宅瑕疵担保責任保険への加入か供託金の納付をさせることで、万が一の時の補修のための資力確保を義務付けるものです。

これにより、買主は、例え引渡しから10年の間に瑕疵を発見し、さらにその時に購入時の売主である住宅事業者が倒産してしまっている場合でも、保険法人などから補修のための費用を受け取ることができるようになりました。

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