インターネット通販
1.実店舗とインターネット通販の比較
実店舗の経営とインターネット通販の運営では、「お客様に商品を販売する」という共通点はありますが、必要となる設備や、お客様との接し方など、下記のように多くの違いがあります。
実店舗での開業から販売までにすること
(1)店舗を建てる
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(2)店舗に内装を施す
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(3)販売する商品を陳列する
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(4)お客様が直接店舗を訪れる
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(5)商品を直接手に取る
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(6)レジでお会計を済ませる
といった流れが一般的です。
インターネット通販の開業から販売までにすること
(1)パソコンをインターネットに接続する
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(2)さらにインターネット上に通販サイトを公開するスペースを確保する
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(3)通販サイトの内装を行う
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(4)販売する商品を通販サイトに登録し、商品ページを作成する。また実店舗と違い、視覚のみで商品の魅力を伝える必要があるので、商品の説明文や写真でアピールする
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(5)広告やSEO、口コミ(SNS)などでお客様を通販サイトに呼び込む
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(6)ショッピングカートシステム(実店舗でのレジにあたるシステム)を使い、お客様自身に個人情報を入力してもらい注文を完了してもらう
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(7)商品を梱包し配送作業を行う。
大まかな流れを比べてみても、これだけの違いがあります。
実店舗とインターネット通販では、開業までに必要な準備も、お客様が実際に商品を見ているときに、どのような反応をしているのか確認することができないので、商品のアピール方法も変わってきます。
2.インターネット通販の開業から販売までの流れ
インターネットへの接続
インターネット通販を開業するには、まずパソコンをインターネットに接続するところからスタートします。
インターネットに接続するためにプロバイダーとの契約が必要です。
レンタルサーバーとの契約
レンタルサーバーは、大きく分けて2種類あります。
- ひとつのサーバーを丸ごと利用できる「専用サーバー」
- 複数のユーザーで利用する「共用サーバー」
初めてインターネット通販を開業するのであれば、専用サーバーと比較して「低価格」「サーバー管理が不要」という観点から、「共用サーバー」をお勧めします。
ネットショップの内装(デザイン)
実店舗の建物部分が揃ったところで、ここから内装にあたる、通販サイトのデザインをおこないます。サイトデザインを行い、できあがった店舗に商品を配置していきます。
サイトのデザインや商品の陳列には専用のシステムが必要です。レンタルサーバー上に商品のページを作っていき、装飾していきます。
インターネット通販でのお会計
実店舗でのお客様の来店・レジでの会計にあたりますが、これにもシステムの導入が必要です。
インターネット通販のレジは通常のお会計(決済方法)以外に「配送方法」や「梱包方法」を確認しなければなりません。一般的に実店舗での「レジ」の部分をネットショップでは「ショッピングカート」と呼びます。
商品が売れてからお客様に届けるまでの流れ
お客様から注文を受けたら、指定された決済方法(銀行振り込み・クレジットカード・代引きなど)と配送方法で処理を進めていきます。
入金確認、商品の梱包などを行い、配送業者に商品を引き渡します。
実店舗でお客様の目の前で梱包するのと違い、インターネット通販ではお客様は注文がどのように処理されているのか直接見ることができません。注文を受け付けたときや商品を発送したときなど、それぞれ処理の過程で、お客様にメールなどで経過報告を行うことが大事です。
3.インターネット通販の表示規制
インターネット通販の開業方法については上記のとおりですが、忘れてはいけないのが、法律による規制を守ることです。
インターネット通販では、特定商取引法で定められた表示が必要となります。店舗での販売と違い、通信販売では消費者にとって通販サイトなどに記載された広告(表示)が唯一の情報源となるため、記載内容が不十分だとトラブルの原因となります。
特定商取引法では、表示の不備によるトラブルを未然に防止する目的で、広告に表示する事項を以下のように定めています。
- 販売価格(役務の対価)※送料についても表示が必要。
- 代金(対価)の支払い時期、方法。
- 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)。
- 商品(指定権利)の売買契約の申込の撤回又は解除に関する事項(返品の特約がある場合はその旨含む)。
- 事業者の氏名(名称)、所在地、電話番号。
- 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名。
- 申込の有効期限があるときには、その時期。
- 販売価格、送料等以外に購入者が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額。
- 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容。
- いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境。
- 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容。
- 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額。
- 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス。
なお、消費者が自分で購入するか否かを判断するという「通信販売」の性質上、不意打ちによる勧誘等を受ける可能性のある「訪問販売」とは異なり、消費者の購入の意思決定の自由が認められることから、「クーリングオフ規定」を導入することは適切ではないとされています。
そのため、消費者からの商品または指定権利の売買契約の解除を原則可能としていますが、事業者が通信販売の広告に経済産業省令に従い「返品の特約」に関する記載を行った場合には、この限りではありません。