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造作買取請求に対する対応


 賃借人から「建物に設置した設備を明渡時に買い取って欲しい」と求められました。どのように対応したらよいでしょうか、というご質問を頂くことがあります。

 借地借家法33条の要件を満たしている場合には、賃借人は造作買取請求をすることができます。

 ただし、造作買取請求権を放棄する特約がある場合には、賃借人から買い取りを請求することはできません。

1.借地借家法の定める造作買取請求権

 造作買取請求権とは、賃貸借契約の終了の際、賃借人が建物に付加した造作を、賃貸人に時価で買い取ってもらうことを請求できる権利です。

 借地借家法33条は、「建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。」と定めています。

 したがって、賃貸借契約が終了した場合には、賃借人は、一定の要件を満たす場合に、賃貸人に対して「造作(ぞうさく)」の買取請求ができます。

 造作買取請求ができる要件として、1.対象が造作であること、2.その造作が賃貸人の同意を得て付加したものであること、3.賃貸借が終了すること、という3つの要件が必要とされています。

2.「造作」とは何か

 「造作」とは、一般には「建物に付加されたもので、賃借人が所有し、かつ、建物の使用において客観的に便益を与えるもの」とされています。借地借家法は、造作の例として畳や建具をあげています。

(1) 建物に付加されたもの

 建物に付加されたものということは、「建物に付加されることによりその効用を発揮し、その建物から取り外されるとその造作としての価値を減少するようなもの」を指すことになります。

 したがって、テーブルや椅子、取り外し可能なエアコンなどは造作ではないことになります。

(2) 賃借人の所有するもの

 造作買取請求権の対象となるためには、そのものを賃借人が所有していることが要件となります。

 したがって、賃借人が建物に付加させたものであっても、建物に結合して一体となってしまったものは建物所有者の所有物となってしまうため、造作買取請求権の対象となりません。

(3) 建物の使用に客観的に便益を与えるもの

 借地借家法で買取請求権の対象とされているのは、「建物の使用に客観的に便益を与えるもの」だけです。

 賃借人が賃貸人の同意を得て付加させたものはすべて賃貸人は買い取る必要があるとは定めていません。

 逆に、いくら賃貸人の同意を得て付加したもので賃借人が所有するものであっても、「賃借人がその建物を特殊な目的に使用するため特に付加した設備は造作には含まれない。」と判断されています(最高裁判所昭和29年3月11日判決)。

 したがって、居住用の借家において、賃貸人から店舗営業の許可を特別に得ている場合であっても、「特定の営業にしか使用できないようなもの」については、建物の使用に客観的に便益を与えるものではないと考えられることになります。

 このような場合は、造作買取請求権の対象にはあたりません。

3.造作買取請求権の放棄の特約の有効性

 実際の賃貸借契約においては、「借家人は造作買取請求権を放棄する。」という特約を設けているものが少なくありません。

 現行の借地借家法の下では、このような特約も有効です。

 旧借家法においては、造作買取請求権の規定は強行規定とされ、当事者間でこれと異なる特約をしても無効であるとされていました。

 したがって、旧借家法の適用のある契約(平成4年8月1日前に締結した借家契約)の場合には、「借家人は造作買取請求権を放棄する。」という特約を設けていても無効とされ、賃貸人は上記の「造作」の要件が満たされている限り、買い取る義務がありました。

 ところが、平成4年8月1日施行の借地借家法においては、造作買取請求権は任意規定とされ、借地借家法の定めと異なる内容の特約も有効とされることになっています。

 したがって、借地借家法の適用のある契約(平成4年8月1日以降に新規にした建物賃貸借契約)では、賃貸借契約で造作買取請求権を放棄する旨の特約があれば、借家人は造作買取請求権を行使することができません。

 このように、賃貸借契約終了時に賃借人から建物に設置した設備を買い取ってほしいと請求された場合、それが借地借家法33条の造作買取請求権の要件を満たしているのであれば、原則として賃貸人に買取義務が生じます。

 もっとも、平成4年8月1日以降に新規にした建物賃貸借契約で、造作買取請求権放棄の特約がある場合には賃貸人が買取請求に応じる必要がないといえます。

 設備の状況や契約の時期等について、賃貸人の側でも確認する必要があるといえるでしょう。

【注意】
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 居住用物件の借主様からのご相談・ご依頼(マンション・アパートを借りていらっしゃる方からの退去交渉等のご相談・ご依頼)は受け付けておりません。予めご了承ください(債務整理としてご相談をお受けすることは可能です)。
 なお、テナント物件(事業用物件)については、貸主様・借主様いずれの方からもご相談・ご依頼をお受けしております。

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