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立退料の計算方法


 ここでは、賃貸借契約における建物の立退料の算定方法について説明します。

1.借家の立退料に関する基準

 当事者間で借家の明渡交渉を行う場合に参考となる公的な基準として、以下のようなものがあります。

(1) 借家権価格(相続税評価基準)

 借地権価格とは、借地権の価値を視覚的に示す為に表しているもので、相続税評価における借家権の価格を基準に算定します。

 (計算方法)
  借家権価格=更地価格×借地権割合×借家権割合

 ※借地権割合とは、土地の値段の何割までが、借地権の価値に相当するかという数値のことです。

 例えば、更地評価額が1,000 万円の土地がある場合で、借地権割合が70%と仮定すると、借地権の価値は「1,000 万×70%=700 万円」と算出されます。

 借地権割合は地域によって異なりますが、宅地であれば60~70%が一般的です。

 ※借家権割合とは、所有家屋を貸している場合に、通常の家屋の評価額に対する貸家の評価額(借家権部分)の割合のことをいいます。

 現在では、全国のほとんどが30%となっています。

 これら2つを掛け合わせると、18%~21%となります。したがって、借家権価格は、更地価格の18%~21%という算定になることが多いといえます。

(2) 借家権価格(相続税評価と不動産鑑定理論の混合)

 不動産鑑定理論で採用されることが多い借家権割合は次のとおりです。

 借家権割合≒30%(住宅地)、40~50%(商業地)

 借地権割合=60%~70%。

 これら2つの割合を掛け合わせると18%~35%となることから、借家権価格は更地の18~35%ということになります。

(3) 収用の場合の立退料基準

 行政による開発に伴う土地収用において、借家に対する補償内容は次のようなものです(公共用地の取得に伴う損失補償基準34条)。

 ・転居作業実費
 ・転居先の住居確保のための仲介料などの実費
 ・権利金その他の賃貸に係る初期費用
 ・家賃差額2年(最大)

 これらの他に、後で説明する裁判所の基準を参考にする場合があります。

2.交渉における相場

 実務では、借家の立退料の相場は賃料半年~1年分が多いと言われていますが、具体的な事情により大きく変動する場合もあります。

 賃貸人としては、賃借人が任意に立ち退かない場合の経済的・時間的コストも考慮して交渉を行うことから、結果的に賃料の半年から1年分という数字が一つの妥協点になるのかもしれません。

 もっとも、借家人に賃料滞納などの義務違反がある場合はこの限りではありません。

 また、賃料の2~3年分の立退料が支払われる事例もあり、具体的な事情や交渉の経過次第で左右されると言えます。

3.裁判所が算定する立退料(借家権価格と正当事由充足割合を使う)

 裁判所が立退料を算定する場面は、更新拒絶・解約申入れを原因とする建物明渡請求訴訟の場合に限られます。

 この場合の立退料の計算方法について説明します。

(1) 借家権価格の算定

借家権価格の算定式は

 (借家権価格)=(更地価格)×(借地権割合)×(借家権割合)

 となります。

 最初に述べたのと同様に、借家権価格は、更地価格の18%~21%という算定になることが多いです。

(2) 正当事由の充足割合の算定

 正当事由が認められる場合に、補完要素として立退料を検討することになります。

 正当事由については、賃貸人と賃借人側の事情を相対的に比較して、正当事由がどの程度充足されているのかという割合を算定します。

 正当事由の充足割合については、以下のような例があります。

・賃貸人が、特に建物を返してもらわないと困窮する状況にある(必要性が高い)
例:賃貸人が居住していた建物が火事で焼失し、転居を余儀なくされた

・賃借人は、対象建物がなくてもそれほど困らない
例:賃借人は別の物件に居住しており、明渡しを求められている建物は物置として使っている

・賃借人には、義務違反等の落ち度があった
 多額の賃料を滞納していたり、用法に違反していた

・賃貸人には特に落ち度はなかった

 このような例であれば、充足割合は80%程度となることが予想されます。

 なお、正当事由の充足割合が100%となれば、賃借人は立退料ゼロで退去することになりますが、実際にはそのような事例はほとんどありません。

(3) 立退料を算出

 正当事由を考慮した立退料算定方法は以下のとおりです。

 立退料=借家権価格×(100%-正当事由の充足割合)

・設定
 借家権価格=500万円
 正当事由の充足割合=80%

・明渡料の算定
 (明渡料)=借家権価格500万円×(100%-正当事由の充足割合80%)=100万円

 この場合、正当事由の充足割合が80%なので、不足部分の20%を立退料で補完したことになります。

4.『事業用』の賃貸借の場合

 事業用賃貸借の場合、立退料には「営業補償』も加算されます。

 主な加算要素として、

・移転に要する物品搬送費用
・移転に際して休業するために生じる損失

 があります。

 通常、営業店舗などでは、退去から移転先での営業再開までの間は営業利益が得られなくなってしまうので、その間の損失を移転費用とは別に補填する必要があるためです。

 その他に、保証金が著しく高い、家賃が非常に低いといった事情も調整要素になります。

 立退料が問題となる事例では、個々の事情を考慮して適切な立退料を算定する必要があります。

 そのためには、不動産の鑑定評価等を行い、事実関係を詳しく調査した上で、相手方や裁判所に対して説得的な主張をしなければなりません。

 交渉の段階では、賃貸人が不相当に高額な立退料の支払いを要求されたり、賃借人が本来支払われるべき立退料を得られずに退去を迫られたりする事例もあります。

 このように正当事由と立退料が問題となる場面では、専門家に相談して十分な交渉を行う必要があるといえるでしょう。

【注意】
 弊所では、居住用物件については貸主様からのご相談・ご依頼のみをお受けしております。
 居住用物件の借主様からのご相談・ご依頼(マンション・アパートを借りていらっしゃる方からの退去交渉等のご相談・ご依頼)は受け付けておりません。予めご了承ください(債務整理としてご相談をお受けすることは可能です)。
 なお、テナント物件(事業用物件)については、貸主様・借主様いずれの方からもご相談・ご依頼をお受けしております。

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