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賃貸借契約終了の注意点


 賃貸借契約の場合、契約の終了及びそれに伴う明渡しの際に様々な法律問題が生じます。

 ここでは、賃貸借契約の終了時に生じる主な問題点について解説します。

1.解除・解約の可否

 賃貸人による明渡請求の前提として、賃借人との賃貸借契約を終了させることができるかが問題となります。

(1) 賃借人に義務違反がある場合

 賃借人に賃料不払い、無断転貸、無断増改築、用法違反といった義務違反がある場合、賃貸人は契約の解除をすることになります。

 もっとも、これまでで述べた通り、賃借人からの契約の解除は「信頼関係破壊の法理」により制限されています。

(2) 賃貸人に義務違反がない場合

 この場合、借地借家法の要件に従って更新拒絶の通知又は解約申入れをする必要があります。

 この際に「正当事由」が必要なのはこれまでに述べたとおりです。

2.原状回復

(1) 原状回復の範囲

 賃貸借契約が終了した場合、賃借人は賃貸人に対し、借家を原状回復して返す必要があります(民法616条、598条)。

 もっとも、「原状回復」とは、借りた時の状態と同じに戻さなければならないという意味ではありません。

 「原状」とは、「借家を通常の用法で使用していればそうなるであろう状態」のことをいいます。

 つまり、建物の経年変化や、賃借人が通常の用法で使用していて生じる傷みや汚れなど(通常損耗)については、賃貸人が負担すべきものとされています。

 他方、通常損耗を超える部分(賃借人の故意・過失等によって生じた損耗等)については、賃借人が修繕費用を負担することになります(通常は、補修費用を敷金から差し引くという形で清算されます)。

(2) 通常損耗を賃借人の負担とする特約の有効性

 通常損耗を賃借人の負担とする特約を結んだ場合、その有効性が問題となります。

 この場合、消費者契約法が適用されるか否かにより、裁判所の判断が分かれています。

 裁判所は、消費者契約法が適用されない賃貸借契約において、通常損耗は、原則として賃貸人が負担すべきであるものの、これと異なる特約を設けることは、契約自由の原則から認められるとしながらも、特約に関する合意の成立要件を極めて厳格に解釈しています(最高裁判所平成17年12月16日判決)。

 他方、消費者契約法が適用される居住用住宅については、賃借人に一方的に不利益な契約であるとして、消費者契約法10条に違反するとした裁判例があります(大阪高等裁判所平成16年12月17日判決)。

(3) 原状回復がされないまま明渡しがなされた場合

 賃借人が原状回復をせずに建物を引き渡した場合であっても、建物の明渡し自体は完了したものとして扱われます。

 そのような場合、賃貸人は、原状回復にかかる費用のうち賃借人が負担する部分について、原状回復費用に相当する金額の損害賠償を請求することができます。

3.有益費の償還

 賃借人は、賃借人が契約期間中に有益費(物を改良し価値を増加させるための費用)を支出したときは、賃貸借契約が終了したときに、価格の増加が現存している場合に限り、支出額または増加額に相当する費用の償還をしなければなりません(民法608条2項)。

 費用償還を請求できる要件としては、1.改良のために要した費用であること(賃貸目的物の客観的価値が増加していること)、2.価値の増加が現存していること、3.有益費償還請求権の排除特約がないこと、があります。

 1.については、建物の価値を客観的に増加させるものであることが必要です(賃借店舗における表入口の改装工事費、飲食店舗におけるカウンターや流し台の改良費用等)。

 2.については、改良した部分が地震や火災などにより滅失した場合、償還を請求することはできなくなります。

 3.については、有益費償還請求権を定めた民法608条2項は任意規定であると解釈されていることから、これを排除する特約も有効となります。

 なお、賃貸人は、賃借人が支出した金額か賃貸物件の価値の増加額のいずれかを選択して、賃借人に償還すればよいとされています。

4.敷金の返還

 敷金とは、賃貸借契約を結ぶ際に、賃借人が賃貸人に預け入れる金銭のことです。

 敷金の目的は、賃貸借契約中に生じる賃借人の債務を担保する(将来生じうる損害を一定の範囲で補う)ことにあります。

 賃貸借契約の終了時に、賃貸人は、敷金を清算して賃借人に返還する義務を負っています。

 具体的には、契約時に賃借人が支払った敷金のうち、未払賃料や原状回復費用等、賃借人が負担する債務を差し引いて、その残りを賃借人に返還しなくてはなりません。

 この賃借人の敷金返還請求権は明渡し時に発生します。

 敷金は、明渡しまでの債務を担保するものなので、賃借人が明渡しより先に敷金の返還を求めることはできません。

 なお、賃貸人が変わった場合、敷金の返還義務も新たな賃貸人に引き継がれることになります。

 それに対し、賃借人が変わった場合(賃貸人の承諾を得て賃借権を譲渡した場合など)については、敷金返還請求権は引き継がれず、元の賃借人が引き続き請求権を持つことになります。

【注意】
 弊所では、居住用物件については貸主様からのご相談・ご依頼のみをお受けしております。
 居住用物件の借主様からのご相談・ご依頼(マンション・アパートを借りていらっしゃる方からの退去交渉等のご相談・ご依頼)は受け付けておりません。予めご了承ください(債務整理としてご相談をお受けすることは可能です)。
 なお、テナント物件(事業用物件)については、貸主様・借主様いずれの方からもご相談・ご依頼をお受けしております。

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